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林業経営者へ追い風が吹く? 放置林の問題を“森林経営管理法”が解決

林野庁は2019年4月から新たに森林経営管理法を施行した。林業を営む事業者への追い風になるという同法律だが、実際に内容はあまり良く知られていないようだ。林野庁の発表資料からこの法律を掘り下げてみた。

森林経営管理法の目的とは

2019年4月、林野庁は各都道府県知事あてに森林経営管理法の運用について書簡を送っている。
 
発行された文章には、戦後から高度成長期に植えられた人工林の活用方法、年々増加している国内産の木材自給率の増加(36%が国内の木材で賄われている)を見越して事業者が管理経営しやすい環境を整えることが目的だとある。
 
戦後から高度成長期に人工林として植えられた木々は今、木材として使用が可能になってきた。その背景も踏まえ、今回の施行は、林業を営む事業者には追い風で、市町村は所有者不明とされた森林を知る上でも重要な法律だ。
 


さらに、個人または複数で所有している森林の中には管理運営が行き届かずに放置林となってしまっている森林もある。放置林を間伐したり手入れしなければ自然災害時に大規模災害となる事例も増えてきている。しかし、放置林は、個人管理の土地である事が多いため市町村がうかつに管理ができないのだ。
 
また、所有者が亡くなってしまったり、取得当時にしっかりと境界線を引かなかったりとずさんな登記がされた背景もある。
 
市町村が強制的に管理運営することは余程のことがない限り無いとされているが、今回の施行はこのような森林を管理、運営し、資産としての森林をしっかりと見直す機会となるだろう。
 

林業事業者の追い風になるか

森林経営管理法には、管理するのは市町村ではなく、その土地で林業を営む事業者とある。市町村は所有する個人と管理運営する事業者の橋渡しを担うというわけだ。
 
また、業務締結の際は森林所有者の意向が最も強く反映され、所有する森林の主伐は強要されない。
 
森林の経営管理も所有者の意向を第一とされるので、管理運営者は森林の維持運営に務めなければならないとされている。つまり、事業者は勝手に伐採することは出来ないのだ。
 
しかし、森林の経営管理が行われていないにも関わらず、森林所有者の意思表示がない場合など、森林の多面的機能の発揮を行うためにやむを得ず市町村の判断で森林の主伐が行われる場合もある。

 


事業者側のメリットとしては、地元木材の供給面積を広く取ることができるため、木材供給において安定的に供給できるという点だ。
 
所有者と事業者の同意のもとで「伐って、使って、植える」という森林サイクルを形成できるため、地域振興に森林管理や林業体験など着地型観光のスキームを作り込むことも可能だ。
 
森林管理には非常に多くの手間と人員が必要で、これまでは事業者や所有する個人に任せてきた。この法律はその土地で林業を営む事業者に、行政の長でもある市町村が加わることで、林業を地場産業として成長させるきっかけになるのではなかろうか。今後の展開に期待したい。
 


Text:岩田武
 

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