世界で加速するドローン植栽―再造林の未来を変える次世代技術の最前線―
2026/02/20
人手不足や急峻な地形が再造林の壁となる中、世界ではドローンによる「植栽そのもの」の自動化が急速に進んでいる。研究段階を超え、実用化へ向かう海外動向から日本林業の可能性を探る。
メイン画像:©Flash Forest
1.世界で広がるドローン植栽の潮流
2.各国の技術と普及状況
3.日本の再造林への示唆
世界で広がる
ドローン植栽の潮流
ドローンを活用した森林再生は、近年「実験的技術」から「実装可能な手段」へと位置づけが変わりつつある。
カナダのスタートアップ企業・Flash Forest(フラッシュ・フォレスト)はその代表例だ。AI、GIS(地理情報システム)、ロボティクス、植物科学を組み合わせ、発芽済みの種子を生分解性ポッドに封入し、ドローンで高速散布する仕組みを構築している。
©Flash Forest
この手法により、作業速度は人手の約10倍、コストは従来植栽の4分の1程度まで低減可能とされる。2028年までに10億本の植樹を掲げ、北米を中心に山火事被災地での再生事業を加速させている点も注目に値するだろう。
こうした技術が求められる背景には、森林減少の深刻化と労働力不足の問題がある。
2024年には世界で670万ha(毎分サッカー場18個分に相当する面積)の原生林が失われ、特に大規模山火事後の迅速な再植林が課題となった。一方、従来の人手による植栽は、作業者確保や安全面、コスト面で限界が見え始めている。
こうした状況を打開する手段として注目されているのが、衛星画像による事前解析、AIによる植栽設計、ドローンによる播種と成長モニタリングを組み合わせた新たな森林再生手法だ。これにより、広域かつ計画的な森林再生が現実のものとなった。
各国の技術と普及状況
イギリスのDendra Systems(デンドラシステム)は、1日で最大40ha(東京ドーム8.5個分)に播種できるAI搭載ドローンを開発し、アフリカや中東で実用化を進めている。フランスでも、高地や急傾斜地を対象に在来種のみを用いたドローン播種が普及し始め、1ヘクタールあたり約1,500本の定着を実現している。
各国事例に共通するのは、多種同時播種による生物多様性の確保と、データに基づく精密な植栽設計だ。単なる省力化にとどまらず、「質の高い再生」を目指す点が従来手法との大きな違いである。
日本の再造林への示唆
日本では現在、ドローンは苗木や資材の運搬用途が中心で、植栽まで踏み込んだ活用例は限られている。しかし、急峻で小規模な伐区が多く、担い手不足が深刻な日本の林業こそ、ドローン植栽との親和性は高い。
種子播種型ドローンは即座に全面導入できる技術ではないものの、伐採跡地の補完的植栽や崩壊地対策など、現場での適用余地は大きい。
実証実験が始まりつつある今、海外事例を参考にしながら、日本の地形・樹種・施業体系に合った活用モデルを模索することが、次世代の再造林への一歩につながるだろう。
参考
Flash Forest
「衛星誘導ドローンによる植林:気候と生物多様性の危機に対するハイテクソリューション」
文/Ellis















