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不要家具の活用で、資源循環と森林生態保全を実現! サーキュラーエコノミー構想とは?

顧客から引き取る不要家具。その処分については、家具・インテリア業界の小売店における共通課題だ。その木くずを資源化し、前代未聞のサーキュラーエコノミー構想計画を進める株式会社村内ファニチャーアクセス。心躍るその中身について話を聞いた。

<目次>
1.不要家具の資源化に向けて
2.フロア構想図


不要家具の
資源化に向けて

中央道八王子インターチェンジから1分。元大型店の居抜きビルを、サーキュラーエコノミー構想を実現する場として生まれ変わらせる画期的な事業構想の計画がある。

建物内には、ガス化炉、まきストーブ施設を設置。そこに廃棄物を集約して有価物化の後、焼却する。そして、その排ガス、廃熱を活用した林木育苗、ハウス栽培、藻類培養などを展開。ゆくゆくは収穫した野菜等を販売し、地域の人々がにぎわう場として新たな命が吹き込まれる計画だ。

家具・インテリアの大型専門店。八王子本店では、国内外の一流ブランド家具を多数そろえる。

そんな壮大な事業の旗を振るのが、隣接する老舗家具店、村内ファニチャーアクセス(FA)だ。専務取締役の髙野功治氏は、「家具・インテリア業界の課題を解決する一歩になれば」と意気込む。

創業70年以上。地域に愛され続けてきた老舗店村内ファニチャーアクセス(FA)。

循環型の経済システムを目指す上で、家具小売店にとって最大の課題がご不要家具。顧客の7〜8割は、ご購入時にそれまで使っていた家具が不要になり、その引き取りを小売店が行っていました。弊社では、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に力を入れてきましたが、最終的には廃棄処分になる。ただ単に焼却するのではなく、本当の意味での、循環型経済を目指すにはどうすればいいのか……そこが出発点でした」。

「この事業は集大成」と語る専務取締役の髙野功治さん。

そこで協業することになったのが、循環型農林業を掲げ、独自の技術開発・提供を行う株式会社オムニア・コンチェルトだ。同社は、農林業用環境監視制御システムなどの開発の他、林木育苗促成栽培システムや農林業用木製ハウスを手始めに、林業への本格進出が近年目覚ましい。
実績ある同社の提案を下地にしながら、不要家具の資源化を目指すサーキュラーエコノミー型事業モデルを構想。そして、不要家具の木くず燃焼によって出る廃温水とCO₂を活用し、育苗、野菜栽培するというかつてない事業モデルへとたどりついた。
 

新事業では、廃棄物を集約する場として機能。オムニア・コンチェルトとの協業により、それらを再資源化し、付加価値をつけることで、三方よしの循環型の経済システムを構築する。

 


 
村内FAの不要家具の処理量は、昨年度で年間約800トン。その中で、最終的に焼却する木くずの年間廃棄量は約400トン。当然、廃棄処分にはコストもかかる。新事業モデルが実現すれば、そのコストカットが可能になるばかりか、不要家具が資源として再価値化されることになる。
まさに、資源を循環利用し続けながら新たな付加価値が生み出される経済システム=サーキュラーエコノミーだ。

「弊社では、回収したご不要家具を修理。その売り上げ全額を毎月寄付し、社会貢献を続けてきました。寄付先は、飢餓をゼロにすることを使命とする国連唯一の食糧支援『国連WFP』と、店舗所在地の子ども食堂。子ども食堂では、社員自らが食料を調達し、配達します。
この取り組みをするようになってから、一番変わったのが従業員のコミュニケーション力。自然と協力体制が生まれたのです。ただ単に経済性を追求するものではなく、みんなを幸せにするような仕組み作り、三方よしのシステムを作ることがこれからの企業価値。この事業モデルは、弊社が取り組んできた社会貢献活動の集大成だと考えています」(高野さん)。

国連世界食糧計画(WFP)の支援を継続。対象商品を購入するとポイントが付くサービスも。

目指すのは、地域に根ざした業態開発。育苗や農作業では、障がい者や高齢者雇用も積極的に検討している。また、隣接する敷地を買い取り、居抜きビルをあえてそのまま利活用することで環境負荷を最小限化。ビルの再価値化に成功した暁には、廃屋活用の全国的な展開も視野に入れる。

育苗した林木は、森に植え、森林の生態系保全、CO₂排出削減に貢献。そして将来的には、育った材木で作られた家具が店頭に並ぶ可能性も。業界初の大胆な挑戦の行く末に、今後も期待したい。

ベルギー生まれのライフデザインショップ「OKAY」を併設。

 


 

フロア構想図

提供:オムニア・コンチェルト社

循環型農林業を掲げ、技術開発・提供を行うオムニア・コンチェルト社とともに、サーキュラーエコノミー発想での事業モデルを構想。居抜きビルの駐車場スペースを大胆に使いながら、木質バイオマス燃焼、その廃温水とCO₂を活用しての育苗、海産物生産、植物栽培などを行う予定だ。

➀林木育苗促成栽培

立体駐車場屋上スペースでは、低花粉スギなど環境配慮型の林木育苗促成栽培を計画。余ったスペースでは、ブルーベリーやイチゴの苗木栽培も。

➁大型藻類培養、陸上海産物養殖

木質バイオマスガス化による廃熱を活用し、大型藻類を培養。その下では、ハタや車エビなどの海産物を養殖する予定。

➂集中監視センター

オムニア・コンチェルト社が開発する農林業用環境監視制御システムを設置。集中監視センターのパソコンを介して、全国農場設置機器類の動作確認、制御を行う。

➃廃材家具のガス化炉、周年型しいたけ栽培ハウス

建屋内1階フロアにガス化炉を備え、不要家具を処理。その排熱を活用し、しいたけ菌床栽培や養殖槽へ。排ガスは、浄化CO₂として木製ハウス内や屋上林木育種苗木栽培へ。菌床栽培後は農業用肥料、もしくは木質バイオマス燃料へ。

➄農林業用木製ハウス

オムニア・コンチェルト社が今後全国的に展開する、農林業用木製ハウスも設置予定。ここでも排熱、排ガスを使用する。

➅完全閉鎖型植物工場

最下層階は、イチゴ等の果樹植物工場を設置予定。植物栽培に注力することによってCO₂吸収量を高めていく。将来的には一般向けの収穫体験も。

 

問い合わせ

株式会社村内ファニチャーアクセス
TEL:042-691-1211

株式会社オムニア・コンチェルト
TEL:080-2356-3600


写真・文:曽田夕紀子

FOREST JOURNAL vol.20(2024年夏号)より転載

Sponsored by 株式会社オムニア・コンチェルト

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