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林業機械の現在地【後編】 機械の遠隔操作化・自動化にカギとは? どんな現場になる?

林業界では、コロナ禍を機に、デジタル化やIT・ICTの活用が急激に進んだ。林業機械の自動化・遠隔操作化が進むとどのような未来が待っているのだろうか。林野庁と林業機械化協会に伺った。

 

「森ハブ」で革新的な
技術が生まれる

林野庁が推進す『林業イノベーション』が目指す将来像は、伐採・搬出では生産計画から伐採・出材までの情報をICTで管理し林業事業を効率的に運営、また、伐採~運搬を自動化し、林業生産性をアップするとともに労働災害の発生しやすい作業を現場から排除すること。

そして造林では、エリートツリーの植栽やドローンによる苗木運搬、下刈作業の自動化による作業効率の飛躍的な向上だ。これらの取組により、労働強度の高い造林作業を軽労化して、若者や女性にとっても魅力的な産業へ転換することを目指している

コロナ禍を機に、非接触・非対面による活動を可能にするデジタル化やIT、ICTの活用が急激に進んだと言われている。



林野庁が目指すもの
技術開発進む

林野庁の安藤さんは「将来的には、事務所にいながら遠隔で機械を操作できる日がくるかもしれません。夢物語だと言われるかもしれませんが、現在の林業現場における省力化、軽労化にも力を入れつつ、労働人口の減少が想定されるなか、ぜひ実現を目指したい」と意気込む。

自動化・遠隔操作化において課題となっている通信だが、今、山間部における衛星コンステレーションの実証が進められている。

衛星コンステレーションとは、多数の人工衛星を協調して動作させる新たな通信技術による運用方式だ。うまく活用できれば、山間部においても一定の環境下での通信環境が改善され、労働の安全性と作業効率が格段に向上する。

「このようなインフラができたことに付随して、森林内で使えるサービスが増えれば、より自動化・遠隔操作化が促進されます。そして、今、林野庁が林業の安全性と生産性の飛躍的な向上を目指す林業イノベーションを後押しするのが、“森ハブ”です。

森ハブ・プラットフォーム』への参加募集が9月4日にスタートしました。あらゆるジャンルから、団体・企業・研究者などに参加してもらい、情報交流やマッチングを促す取り組みを通じて、革新的なアイデアが生まれ、林業現場へと実装されることを期待しています」(林野庁・一重さん)。

新プラットフォーム
林業の課題解決目指す

『森ハブ・プラットフォーム』は、課題解決に向けて林業機械メーカーから林業事業体、自治体、大学研究機関、林業支援サービス事業体、そして異分野のスタートアップ企業までが1つにつながり、日本の林業にイノベーションを起こそうというプラットフォームである。入会費は無料だ。

すでに異業種スタートアップ企業が参入して実現間近と思われるのが、植栽時の苗木運搬で使用する「電動クローラ型1輪車」。重量60〜80kgの運搬が可能で、現場からは発売開始を心待ちにする声が多いという。2023年に茨城で開催される林業機械の展示会では、これまでにない多くの企業が参加を表明している。今、林業が大きな一歩を踏み出そうとしている。

 

自動化・遠隔操作化が進むと・・・
近い将来、こんな現場が実現する!?

車両系作業システム:緩傾斜地

車両系作業システム:中~急傾斜地

架線系作業システム

造林作業

※すべてイメージです!
「林業機械の自動化・遠隔操作化に向けて」(林野庁資料)をもとにイラスト化

 



話してくれた人

林野庁 森林整備部 研究指導課
技術開発推進室

増田 義昭さん

安藤 暁子さん

一重 喬一郎さん


一般社団法人林業機械化協会

石井 晴雄さん

栗林 晃さん


取材・文:脇谷美佳子

FOREST JOURNAL vol.17(2023年秋号)より転載

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