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林業に立ちはだかる圏外の壁を打ち破れ! 通信の課題解決に向けた3つの取り組みとは?

林業に立ちはだかっているのは、通信が繋がらないということ。自動化や遠隔操作化しようと思っても、実現できないのが現状だ。それを打ち破るためにはどうしたらよいのか。

 

 

無線通信が困難な林業現場
自動化・遠隔操作化へ


林野庁 研究指導課 技術開発推進室
藤野 和代さん

 
「林業イノベーションの中で、林業機械開発の方向性は自動化、遠隔操作化に向かっています。しかし、森林内は、地形が複雑で立木等に遮られ、電波が減衰しやすく無線通信が困難な場所が多く、開発実証を進める時のボトルネックになっています。また林業では、施業が終わると現場が移動していく特徴もあります」

林業機械の自動化、遠隔操作化に向けてのハードルとして浮かび上がってきた「山での通信」。現場での通信技術の確率がボトルネックになっているという現状だ。



林業に立ちはだかる壁を打ち破る
他分野の技術やノウハウが必要

林業機械を自動化、遠隔操作化しようにも通信が繋がらないということが、大きな壁になっている。そもそも日本国内の通信網は「人」がいるところを中心に張り巡らされている。よって、林業の仕事場である山林は現状、携帯電話通信圏外となることが多い。

こうした中、林野庁は昨年7月、「林業イノベーション現場実装推進プログラム」を約3年ぶりにアップデート。林業の課題を8分野35課題に整理し、それぞれに対応する、異分野を含めた技術をリスト化をした。

さらに通信技術の進展が重要になることから、通信の将来像も新たに盛り込んだ。通信は使用目的により、必要な通信速度や通信容量も異なってくるため、森林内の通信技術活用の方向性を3つに分けている。

必要な量・速度による通信3つの取り組み

① 作業員間の通信や緊急通報など森林のつながる化を目的とした「通信の確保」

② wi-fi等を活用した林業機械の遠隔操作や衛星コンステレーション※の活用など「より高度な通信の活用」

③ 5G等の活用による事務所からの遠隔監視や林業機械の自動化などの「将来的な取り組み」

※複数の通信衛星を協調させて機能させるシステム、人工衛星の一群。コンステレーションは星座(星の配置)を指す単語。

衛生コンスレーションでは一部サービスが開始しており、新たな通信技術が森林内で利用可能かという実証も進めておくことが必要!


林野庁 研究指導課 技術開発推進室
安藤 暁子さん

 
「林業分野のイノベーションは、森林内における通信の課題が解決すれば、一気に進むかもしれません」」



DATA

林野庁 林業イノベーション現場実装推進プログラム(令和4年7月アップデート版)
森ハブとは?


取材・文/渕上健太

FOREST JOURNAL vol.15(2023年春号)より転載

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