就寝時は仰向けがいい? 入浴時のお湯の温度は? 疲れを溜めないメンテナンス術
2026/07/23
山仕事は、まさに身体が資本の仕事。だからこそ、疲労や痛みを“頑張り”や“気合い”で乗り切るのではなく、日々整えていく視点が欠かせない。睡眠、食事、入浴、そして簡単なエクササイズまで。身体に疲れを残さないためのメンテナンス術を紹介。
酷使する身体は毎日の
メンテナンスが重要
「重い機材を扱い、斜面を歩き続ける林業では、腰や背中、手足への負担が大きく、疲労も溜まりやすくなります。まずは日々、疲れをリリースしていくことが大切です」と話すのは、ピラティス療法家の大野裕美子さん。
ピラティスは、もともとリハビリを目的に生まれたエクササイズ。「身体の使い方の癖を見直し、体幹から整えることで、動きやすく疲れにくい身体づくりに役立ちます」。作業で酷使しやすい背骨や腰まわり、手足の末端をケアすることも、コンディション維持につながるという。
身体を整えるためには生活習慣も重要だ。「食事は、たんぱく質を中心に、身体づくりや疲労回復に役立つ栄養を意識したいですね。特別なパワーフードより、毎日のバランスの良い食事が大切です」。入浴も、酷使した筋肉をゆるめ、心身をリラックスさせる習慣として取り入れたい。
さらに睡眠は背骨の休息時間だという。「日中、重力の影響を受け続ける背骨は疲れが溜まりやすい箇所。夜、横になって眠ることは、背骨をリリースできる貴重な時間です。また、睡眠の質という点では、飲酒のしすぎにも注意したいですね」。
山仕事を長く続けるためには、疲労や痛みを頑張りで乗り切るのではなく、日々整えていくことが重要だ。エクササイズと生活習慣、その両方から身体をケアする視点を持っておきたい。
動ける身体を維持するための
ピラティスエクササイズ
背中と腰を整える「ソー」
木こりがのこぎりを引く動きをイメージしたエクササイズ。腰から背中にかけての腰背部を大きく動かし、前かがみ姿勢やチェンソー作業で固まりやすい身体を整え、腰痛やケガの予防にも役立つ。

① 床に座り、座骨を床につけて両脚を肩幅程度に開いて伸ばす。つま先は立てる。左右の腕は横にまっすぐ伸ばし、肩の高さまで上げて手のひらを下に向ける。

② 息を吸いながら、胸から身体をゆっくりと左にねじっていく。右手を左脚の小指側へ伸ばすようなイメージで。

③ 息を吐きながら、背中をゆっくり前に倒していく。右手が左足の小指側にくるように。息を吸いながら体を起こし①の姿勢に戻り、反対側も同様に。
過労働になりやすい末端をケアする
手のひら&足裏ほぐし
チェンソーを使うことによる振動や、斜面での作業では、手指や足裏にも大きな負担がかかっている。特に指の細かい関節は固まりやすいため、こまめにゆるめて疲労を溜めないようにしよう。身体の土台となる末端部をゆるめることで、疲労や身体のこわばりの軽減にもつながる。
足裏ストレッチ

足首を大きく回したり、足指をグーパーと動かしたりする。作業中は、地面の突起のある場所に足裏を押しつけてほぐすのもおすすめ。
手のひらストレッチ

両手をグーパーして動かしたり、水かきの部分をほぐしたりする。作業の間にも手首をゆっくり回すなどケアしよう。
体幹を刺激する胸式呼吸
浅い呼吸は、身体の緊張や疲労感にもつながりやすい。胸式呼吸では、胸郭を広げながら呼吸することで、体幹や姿勢筋も働きやすくなる。

背筋を伸ばした状態で、まずは息をしっかり吐ききる。吐ききったら吸い、 脇腹や胸が広がるイメージで空気を身体に取り込む。吸いきったら吐くを繰り返す
疲れを溜めない食べ方

肉体労働では、エネルギー補給だけでなく、身体を修復し、動ける身体を支える栄養も重要。主食だけで済ませず、魚、卵、豆類などのタンパク質、野菜や果物、玄米や雑穀などの全粒穀物をバランス良く摂り入れたい。いつもの食事に“1品足す”ことから始めよう。
いつもの食事にプラス1

翌日に疲れを引きずらない入浴
湯船につかることで身体が温まり、血流も改善。筋肉の緊張がゆるみ、疲労回復や睡眠の質向上にもつながる。シャワーだけで済ませず、できるだけ湯船につかる習慣をつけたい。
<疲れを溜めない入浴術>
●38〜40度のぬるめのお湯につかる
● 入浴時間は10〜15分程度
● 就寝1〜2時間前が目安
● 入浴後の水分補給も忘れずに
睡眠は背骨のお休みタイム

日中、重力や負荷を受け続けている背骨にとって、睡眠は重力から解放される貴重なメンテナンス時間。特におすすめなのが仰向け寝。首から腰にかけて背骨の自然なS字カーブが保たれ、背骨や腰まわりが休まりやすくなる。
<睡眠の質を上げる習慣>
● 仰向けで寝る
● 寝室は暑さを我慢せずエアコンを使う
● 寝る前の飲酒を控える
● 就寝前のスマホや強い光を避ける
● 毎日なるべく同じ時間に寝起きする
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教えてくれた人
大野裕美子さん
ピラティス療法家。STUDIO Menotes代表。BASI Pilates認定コンプリヘンシブインストラクター。運動療法をベースに、姿勢や機能改善の指導や生活習慣を含めた身体づくりのアドバイスを行う。
イラスト/PINO
文/藤田都美子
FOREST JOURNAL vol.28(2026年夏号)より転載














