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林業者の取り組み

ハンターのマッチングで森林再生に挑む! 異業種とタッグ組む若き林業家の想いとは

“活動の場がない猟師”と“獣害で困っている山主や農家”を林業家がつなぐ『カリツナギ』が、奈良県宇陀市でスタート。狩猟で森を再生するという、珍しい新規事業にチャレンジする森本さんに話をうかがった。

メイン画像:鹿が好きな米ぬかを撒いて罠に誘導。その上に狩猟者の許可書を掲示するのがルール。

 

新米・街に暮らすハンターが
地域の獣害を救う!?

今年から本格始動した『カリツナギ』に取り組むのは、日本最古の人工林で知られる奈良県吉野地区で1927年創業の「森庄銘木産業」4代目・森本達郎さん。

地元・宇陀市の伝統産業「磨き丸太」などの木製品製造・販売と、奈良県から三重県一部にかけたエリアの伐採から原木販売までの森林管理を行っている。


右:日本建築の床柱などで用いられてきた「磨き丸太」は、江戸時代から地元の伝統産業として発展。原木の育成から加工、販売まで一貫して行う。
中:磨き丸太のスツールや一枚板テーブルを扱う自社ブランド「MORITO」。鹿が描かれたブランドロゴに、鹿と人が共存できる森づくりの願いがこめられている。
左:築100年近くの蔵を改装したショールーム。カリツナギの試食会場としても使われる。

今、山主さんのほとんどが『苗木を植えても鹿に食べられて育たない』と植林を断念しています。家業に入ってまだ4年目ですが、この問題を先送りしては森林再生が進まない。これほどまでに放置されてしまった獣害は、林業事業者だけでは解決しないと感じていました」。


鹿が樹皮を食べた後。病原菌が侵入し、倒木や立ち枯れの原因になる。そばにはタケノコを食べた形跡も。

そんな折、森林づくりの課題を林業に携わる人と異業種の起業家で解決する林野庁の助成事業「サステナブル・フォレスト・アクション(SFA)」へのエントリーが決定。

ゲーム関連会社「3rdKind」CEOで、事業開発の経験を持つ細谷太郎氏とタッグを組み、獣害に困る林業家と地域外・新米の猟師をマッチングするサービスの新事業計画を練り上げた。田舎で畑仕事を楽しむ東京在住の細谷氏も「今後は都会の人向けの自然相手の新規事業がくる」と手応えを感じていたという。

そして見事に入選し、その実証実験としてカリツナギがスタートした。


カリツナギで行う狩猟方法は「くくり罠」がメイン。罠に足をかけて捕獲する。

 

 



 

PROFILE

森庄銘木産業 株式会社 取締役専務

森本達郎さん

1993年生まれ、奈良県出身。立命館大学卒業後、3年間大手木材商社で営業を経験した後に帰郷、2019年取締役専務に就任。仕事のテーマは「森と暮らしをつなぐ」。2021年には、 床・壁・内外装材の「ヒノキ曲がり梁(はり)」とイベント・ワークショップ「『自分ちの森』を知る第一歩 若手林業家と巡る森林ツアー」でウッドデザイン賞を受賞。

DATA

森庄銘木産業株式会社
奈良県宇陀市菟田野古市場511-2


取材・文:後藤あや子
写真:村岡栄治



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