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林業者の取り組み

森と人をつなぐ道を。次世代型木こり「outwoods」が思い描く未来とは?

10年以上も前から持続可能な林業を目指し、多様な取り組みを行ってきた「outwoods」。永続的な利用を目的とした森林作業道づくりも主な活動のひとつだ。彼が思い描く持続可能な林業について話を伺った。

永続的に人が訪れ、維持され
残り続ける“道”をつくる

「僕にとって“道”とは、人間界と自然界を分ける明確な境界のこと。人が、森との共存を実現するために必要なラインと捉えています。使い捨ての森林作業道ではなく、永続的に人が訪れ、維持され、残り続ける“道”を作りたい」。

そう朗らかに語るのは、北海道を拠点に「outwoods」という屋号で活動する林業家、足立成亮さんだ。フリーランスの木こりとして、道内各地の森林整備を手掛ける足立さんだが、その活動の軸であり、一番の売りでもある技術が「道づくり」だという。

林業における作業道というと、間伐をはじめとする森林整備、木材の集積・搬出のために開設される場合がほとんどで、その多くは、継続的に利用されることがない。一方で足立さんは、森と人をつなぐために永続的に使われる道づくりを目指している。作業道としての機能性はもちろんのこと、歩いていて心地よく、景観が良く、人にも森に対しても“無理のないデザイン”が行き届く道のことだ。

「林業に携わるようになってからずっと感じていたことなんですけど、間伐でも皆伐でも伐採したら不要な部分を山に捨てていく。それがもったいないな、と思ったのがはじまりでした。道さえあれば、軽トラや小型トラックでも入れ、捨てられるはずの材をいくらでも集められる。“もったいない”を拾い集めたいという思いが、道につながったんです」。


 


森林作業道の第一人者から
学んだ道づくりの技術

子供の頃から自然や森のなかで遊ぶことが好きだったという足立さんは、26歳のときに林業の道へ。滝川町にある林業の会社に入社し、約2年間勤務した後、ある自治体の林務課の臨時職員として勤務。約1年間、町有林管理や森林整備計画業務に従事した。その後は、やはり現場に立ちたいと独立。その後、「outwoods」として活動をスタートさせたという。

環境保全型の森林整備を目指すうえで、欠かせないと考えたという「道づくり」の技術。本格的に学ぶ機会を得たのは、2013年のことだ。自然の力を持続的に生かす森づくりを目指す、旭川市にあるNPO法人「もりねっと北海道(以下もりねっと)」。そこで、森林作業道の研修を行っていることを知り、参加したのがきっかけだった。


講師を担当していたのは、「四万十式作業道」や「サントリーの森づくり」などの実績で知られる道づくりの第一人者、田邊由喜男さん。山の表土や間伐材など、現地で調達できる素材のみを使い、自然を活かしながらつくる作業道は、低コストでありながら、山を壊さず、景観も損なわない。そんな田邊さんの指導のもと、永続的な道づくりの技術をコツコツと習得していったという。

また、同NPOを主宰する陣内雄さんとの出逢いも大きかった。互いにフリーランスの木こりながら、林業の抱える課題に同じように意識を向け、志を共にする仲間として関係を深め、現在もなお、多くの現場を共にしているという。

同じ、フリーランスの木こりである陣内雄さん(写真左)とは様々な活動を共に手掛けている (写真提供:outwoods)

いわゆる一般的な林業のための森林作業道と、足立さんが目指す道の違いとはなんだろう。端的にいうと、「何回も使える道かどうか」だと足立さんは語る。

「良い悪いでは言いたくはないんですが、高効率低コストが進む林業では、木を効率良く運び出すために作業道がつくられ、ほとんどが使い捨てされています。大きな機械を通すために大きな道も必要になって、山がズタズタになる。10年後にくると道がなくなっていて、間伐のためにまた道を作らないといけない。しかも、作業後の道はドロドロぐちゃぐちゃで、人が歩くことができない場合が多い。歩けたとしても、勾配が急だったり、景色が工事現場だったりで、森を感じ、楽しむ状況ではないし、作業後の巡視などにも利便が良くないケースがほとんど。

僕らが目指すのは、山に戻りにくい、森に還りにくい道でありつつ、森林環境には負荷をかけない道。そして、森と人との関係をガラッと変えるような道です」。
 

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