カーボンクレジットを活かした自治体×企業の挑戦!持続可能な脱炭素社会実現を目指す連携協定
2026/05/19
近年、持続可能な脱炭素社会の実現に向けて自治体や企業が連携し、協力にあたっている。今回、北海道の複数自治体と企業が連携協定の締結式を行い、より良い未来のために歩みだそうとしている。今回はその締結式を取材した。
1. 北海道4町の持続可能な脱炭素社会実現を目指して
2. カーボンクレジットとは?
3. 自治体の広域連携による循環型森林経営
4. 森林の価値化を推進するステラーグリーン
5. 循環した仕組みを目指して
6. 脱炭素化社会を見据えた新しい自治体×企業の形
北海道4町の持続可能な脱炭素社会実現を目指して
今回、連携協定を締結したのは北海道森林バイオマス吸収量活用推進協議会、北海道内の4町(足寄町・下川町・滝上町・美幌町)および株式会社ステラーグリーンだ。
この4町は地域内に豊かな森林資源を有し、林業を基幹産業としている地域だ。中でも下川町は森林バイオマスを中心とした再生可能エネルギーの完全自給などを目指した地域づくりをすすめることで「環境モデル都市」、「環境未来都市」、「バイオマス産業都市」、「SDGs未来都市」といった国のモデル地域に選定されている。他の町も多くの自然に恵まれた地域であり、この4町によってこの北海道森林バイオマス吸収量活用推進協議会は構成されている。
彼らは森林カーボンクレジット創出の支援を実施している企業である株式会社ステラーグリーンと連携協定を締結した。この協定は森林資源を活用したカーボンクレジットの創出と地域経済の活性化を目的としており、互いの強みを活かすことで持続可能な脱炭素社会の実現に向けて共に歩んでいくことになる。
署名する下川町町長の田村泰司氏
カーボンクレジットとは?
「カーボンクレジット」とは、削減したり吸収したりしたCO2の量を、企業間などで取引できる形に変えたもの。CO2の削減量や吸収量は、そのままでは取引できない。そのため、取引しやすいように形を変える必要がある。このように、CO2の削減量・吸収量を売買可能なクレジット(排出権)にしたものをカーボンクレジットと呼ぶ。このクレジットは創出者(農業者・林業者など)は適切に森を管理し、削減に成功した量だけ得ることができる。

出典:J-クレジット制度ホームページ
カーボンクレジットを利用するメリット
カーボンクレジットの創出者は取引によってクレジットの売却益を得ることができる。売却益を再投資すれば、さらなる森林管理や植林などの活動を促進することができるだろう。
また、カーボンクレジットを購入する企業にもメリットはある。削減努力を重ねたとしても、どうしても減らせないCO2をカーボンクレジットを使うことで相殺することができる。目標をクリアすることで、カーボンニュートラルの達成に近づくことができるのだ。
自治体の広域連携による
循環型森林経営
今回の提携は4町の広大な町有林を活かすことでカーボンクレジットを創出、それで得た売却益を活かして循環型森林経営、そして地域活性化を目指していくことを目的としている。今回のプロジェクトでは4町の町有林にあたる13,200haを使用して実施されることになる。
注目するべき点は4つの町が広域連携して取り組んでいくことだ。これまで市や区の規模で取り組む例は見られたが、町や村といった規模で取り組むには山林面積の小ささや技術面など様々な課題があった。それを北海道の4町は広域連携することで取り組みを大きく推進させた。
森林の価値化を推進する
ステラーグリーン
一方でカーボンクレジットを創出するプロジェクトには高度な専門性が求められてくる。プロジェクトの実施には登録申請、妥当性確認、計画書の作成はもちろん、実際に排出量や吸収量を計測するモニタリング算定とその報告、検証までも必要になる。またクレジットを創出した後もその取引を実施する企業も探さなければならない。
今回、連携を締結したステラーグリーンは森林の価値化を推進する知見と実績を有している。クレジットの創出から販売までのプロセスを支援している。プロジェクト計画書の作成、審査機関対応、吸収量算定、需要家の探索、クレジットの販売手続きなど様々な役割を担う。また、成功報酬型ワンストップサービスを採用しているため、全期間で自治体による新たな費用負担は発生しない。
多くの森林資源を有する北海道の4町、そして多くの知見を持つステラーグリーンが連携することで、森林資源を経済的価値により効果的に繋げ、そうして得た価値で林業人材の育成、地域サービスの充実といった形で地域内に再投資し、持続的な地域経済の循環に繋げることを目指している。
ステラーグリーンの代表取締役社長兼CEOの中村彰徳氏
巡り巡って森や地域を育む
循環した仕組みを目指して
ステラーグリーンの代表取締役社長兼CEOの中村彰徳氏は「循環する仕組みを作ることが重要」であると連携協定締結式の挨拶で述べた。
カーボンクレジットを通じて森林へ資金を還元し、その資金を森林整備や植林活動、林道整備などに再投資することで、森林資源の価値向上と地域活性化につなげていく考えを示す。
また昨今、社会貢献のために植林活動やボランティアに取り組む企業なども数を増やしている。そういった取り組みの一つとしてカーボンクレジットを活用し、企業が森林を育てる活動に継続的に関わる仕組みを広げていきたいと意欲を語った。
脱炭素化社会を見据えた
新しい自治体×企業の形
今年、経済産業省では排出量取引制度が本格稼働し、2028年には化石燃料賦課金の徴収が開始する。今後、カーボンニュートラルの実現、脱炭素化社会を目指した動きはますます加速していくことになる。
その中で今回の連携協定は持続可能な社会の実現と地域や地域の未来を支える新たなモデルの創出につながることが期待される。今後の動向に注目だ。














