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働く現場の新習慣! 中腰作業の負担を軽減するアシストスーツ、使ってみた感想は?

重量物を持っての中腰作業の負担を軽減するアシストスーツ。従来は大掛かりで林業現場に合わないものが多かったが、新たに軽さや装着しやすさと補助力を兼ね備えたサポータータイプが発売された。早速、現場での導入が始まっている。

<目次>
1.安全対策の一つとして会社負担で複数導入
2.重さなどのストレスなく身体の負担軽減を実感
3.「マッスルスーツSoft-Power」使ってみた感想は?

 

安全対策の一つとして
会社負担で複数導入

「今年の夏に県の林災防さんから勧められたのがきっかけで、従業員に使ってみてもらおうと10個導入しました。装備が増えるので最初は皆面倒くさがっていたんですが(笑)、数日経ったら“なんだか身体が軽い”と声が挙がるようになりました」。

朝、現場に到着したらマッスルスーツを装着。着脱は簡単で、1分ほどで完了する。

そう話すのは、福島県双葉郡で運送業と林業を営む吉田林業の代表取締役 吉田健一さん。創業から120年続く同社がいま特に大切にしているのが、社員の安全を守ることだという。

「双葉郡は原発事故の被害を大きく受けた地域です。多くが東京へ出て行ってしまうなか、残ってくれた従業員たちの命をなんとしても守らなければいけない。災害対策について話し合いの場を月1で設けたり、危険な芽は事前に摘み取れるように指導したり、安全対策には重きを置いています。

今回のマッスルスーツ導入も、安全対策の一つ。特にうちは年配者が多いので、着用することでケガが少なくなればという思いがありました」。

重さなどのストレスなく
身体の負担軽減を実感

アシストスーツは、よくイメージされる「力持ちになりパワーアップする」というロボット的なものではなく、「作業中の姿勢をサポートし、腰への負担を軽減する」アイテム。

大きく「外骨格型」と「サポーター型」に分類されるが、外骨格型は補助力が強く、重い物の持ち運び作業など身体的負荷の大きい場面で効果を発揮する一方で、動きにくさを感じることがある。サポーター型は動きの自由度が高く、価格帯が低いメリットがある一方で、外骨格型に比べて補助力が弱いものが多かった。

今回吉田林業が導入した「マッスルスーツSoft-Power(ソフトパワー)」は、電気不要で様々な作業シーンで活躍するサポーター型のアシストスーツ。

アシストスーツ市場でのリーディングカンパニーである、東京理科大発スタートアップのイノフィスと、医療用やスポーツ用サポーターなどの製品を展開する日本シグマックスの共同開発製品だ。

マッスルスーツSoft-Power(ソフトパワー)

人工筋肉のアシスト技術がサポーターの背面部に組み込まれ、サポータータイプでは最強クラスの補助力を実現。動きやすさと補助力を両立させることで、植栽やチェーンソーによる中腰姿勢での伐倒作業、刈払機による下刈り作業など、林業現場にも使いやすい仕様となっている。
 


 
実際に現場で使用している吉田林業の山﨑さんは、「着用時に重さや動きにくさを感じることはありません。夏場も空調服の下に着ていましたが、身体に触れる面積も少なく、暑さを感じることはありませんでした」と話す。

軽量で身体にフィットするサポータータイプは、作業や移動の邪魔にならないため林業現場にマッチ。身体への接触面積が小さいため暑さを感じにくく、夏場も気軽に着用できる。

山崎さんは作業中の腰のラクさのほか、仕事を終えたあとの身体の変化を感じている。

「これまでは帰宅してから何もしたくないほどのダルさがあったり、寝る前に太ももが攣ってしまうことが多かったのですが、マッスルスーツを着けるようになってそれが減ったので、効果を実感しています。来年は植栽の現場などでも活用していきたいです」。

前傾姿勢での作業をサポート。サポーターの背面部に組み込まれた人工筋肉が、腰の負担を約35%軽減する。

 


 

使ってみた感想は?

サポート力
「使ってみる前は変わらないのではと思っていましたが、チェンソーでの作業のほか、重い荷物を持って斜面を上がる場面で、身体が軽く、補助されているのを感じます。夜に腰が張ることや、足を攣ってしまうことも少なくなったので、思った以上に負担が軽減されているようです」

動きやすさ
「朝から1日中着用しても邪魔にならず、快適です。斜面を登ったり、立ったりしゃがんだりする場面でも、動きにくさは感じません。着用したまま車両に乗ることもできます(※)。着脱についても1分ほどなので、慣れると手間は気にならず、問題なく着用できています」

※肩部のバックルで、サポートのオン・オフができる。運転はサポートオフ時のみ可能。

着用感
「夏場には空調服の下に着用していましたが、身体に触れる生地の面積が少ないので、暑さやムレなどを感じることは特にありませんでした。植栽や下刈り作業ではまだ使っていないのですが、何かを背負ったりする時は背中に付いているブロックを外せば干渉しないので、問題なく使用できると思います」

DATA

導入しやすい手頃な価格で販売スタート!
「マッスルスーツSoft-Power」


国内外で累計出荷台数3万台(2024年4月30日時点)を誇る「マッスルスーツ®」シリーズの強化サポーター型アシストスーツ。人工筋肉の技術を応用したゴムの力で腰の負担を約35%軽減。衣服のような着け心地は、歩く・しゃがむなど動きの多い作業に最適。つらい中腰作業を1日中軽やかにアシストしてくれる。



取材協力

吉田林業株式会社

福島県双葉郡で1904年に創業。1945年より吉田林業として伐採の仕事に従事している。植え付けから集材・搬出までの「森林作業サイクル」をメインに、林道整備や倒木の処理など様々な林業に関わる事業を展開している。

問い合わせ

株式会社イノフィス
TEL:0120-046-505


写真:宇都宮索

FOREST JOURNAL vol.22(2024年冬号)より転載

Sponsored by 株式会社イノフィス

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