パワフル送材&太枝もスピードカット! 「NISULA」大径木向けハーベスタヘッドが国内初上陸
2024/08/19
全国で進む主伐や皆伐施業。大径木に対応したハーベスタは、そうした現場で大きな戦力となる。そんな中、林業機械の本場フィンランドで支持を集める「NISULA」社製大型ハーベスタの実演会が国内で初めて開かれ、パワフルな造材性能が実証された。
1.性能を肌で実感! ワンランク上の操作感
2.油圧流量拡大でトルクUP
3.ベースマシンで引き出す性能
性能を肌で実感!
ワンランク上の操作感
豪雪が育む「金山杉」が特産の山形県金山町。実演会場は80年生のスギが整然と梢を伸ばす美林で、東北地方の林業関係者ら約20人が集まった。
今回披露されたのは0.55~0.7クラスのベースマシンに対応するNISULA社の最新機種「755X」。最大直径75㎝まで造材できる同社のハイエンドモデルで、昨年秋に国内初上陸した。
最大の特徴は0.55クラスのベースマシンでも0.7クラスと同等のトルク感を得られるパワフルな送材性能。実演では胸高直径約60cm、樹高25m超の全幹材が回転ローラーで力強く送り出され、大人の腕ほどの太さの枝が初速のまま一発で払われていく様子が披露された。
搭載する「超強力ソーモーター」で長尺の大径材も空中で割れることなくスピードカット。材の端を地面に着けなくても済むので作業効率が大幅アップする。
玉切りでは、直径約50cmの4m材を空中で切断しても木口が割れず、参加者は鋸断スピードの速さを実感していた。
「755X」の国内初号機を昨年11月に導入し、実演機を提供した丸充製材所(秋田県羽後町)のスタッフは「太い全幹材をつかんでもグラップルの油圧が抜けず、0.55クラスの重機でも0.7クラス並みの使用感で枝払いや玉切りができています」と感想を話した。
油圧流量拡大で
トルクUP
輸入販売元で、今回の実演会を開いたフォレストの髙橋等社長は「755X」の開発コンセプトをこう話す。
「油圧モーターのサイズを大きくすることで、作動油の圧力を上げ過ぎなくてもトルクアップを実現しています。日本で主流の0.45クラス向けハーベスタの送材トルクは約2tですが、『755X』を0.55クラスのベースマシンに搭載すると、1.5倍の約3tにアップします。『755X』は作動油の圧力と温度が上がり過ぎないので、シール部分の劣化や金属疲労も防げるなど、耐久性向上にもつながっています」。
さらに「送材時に回転ローラーにバイブレーション的な振動を加えることで、大径木をしっかりと保持しつつも、スムーズに送り出せます。玉切りは油圧流量を増やした『超強力ソーモーター』の搭載で、直径約50cmの4m材でも割れが入る前に切りきれるようになりました」と説明する。
(写真左)有限会社フォレスト 社長 髙橋等 氏、(写真右)金山町森林組合 常務 狩谷健一 氏
「755X」は現在、秋田で1台が稼働中。実演会場の地元の金山町森林組合も「長伐期大径木生産を後押しするハーベスタとして導入を検討しています」と期待する。
「スギ以外の樹種の大径木造材にも『755X』は向いています」と髙橋社長。パワフル造材の「755X」が活躍する現場は全国へ広がりそうだ。
ベースマシンで
引き出す性能
KOBELCO SK170-7は0.7クラスのエンジンと油圧ポンプを搭載する一方、0.45クラスハーベスター向けの配管やコントロールバルブシステムを採用している。
そこでフォレストはメーカーと共同で「配管やバルブシステムを0.7クラス対応に変更」「酷暑でもエンジン全開で使える大容量オイルクーラー追加搭載」を実施。0.55クラスでも0.7クラスのハーベスターヘッド搭載を可能とし、大幅な生産性向上を実現させた。
コベルコ「SK170-7」専用オイルクーラー
DATA
NISULA
1978年創業。欧州メーカーのハーベスタヘッドの試作機メーカーとして生まれ、蓄積した技術ノウハウによる高品質林業機械には定評がある。世界ラリー選手権に参戦するトヨタWRCチームの公式パートナーも務める。
問い合わせ
有限会社フォレスト 高橋等
TEL:090-3128-0265
メールアドレス:u-forest@alto.ocn.ne.jp
文:渕上健太
写真:田附絢也
FOREST JOURNAL vol.20(2024年夏号)より転載
Sponsored by 有限会社フォレスト