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【最新林業トピックス】国産きのこが人気! 東日本大震災からの復興に木材が貢献!?

「森林・林業白書」で最新動向にキャッチアップ! きのこの生産拡大に寄与する取組みや、林業が貢献した東日本大震災からの復興について詳しく見ていく。

TOPIC 5

きのこの産地表示
変更により国産明確化へ


2021年のきのこ類の生産額は2271億円。内訳は、生しいたけが645億円、ぶなしめじが478億円、まいたけが396億円の順となっている。

国では、きのこの生産量を2030年度までに49万tとする生産努力目標を設定しているが、近年は46万t前後で推移。きのこ消費拡大に向け、さまざまな活動に取り組んでいる。

そのひとつが、しいたけの原産地表示ルールの改正だ。これまでは収穫地を原産地として表示していたが、近年は輸入菌床を使ったしいたけの生産量が増加しており、買う側は国産菌床か輸入菌床のどちらかが区別ができなかった。

2022年3月に消費者庁が原産地表示のルールを見直し、原木又は菌床培地に種菌を植え付けた場所(植菌地)を原産地として表示することを義務化した。加えて、菌床やほだ木に国産材が使用されたことを表示するマーク等の取組も進められている。日本の森林生まれ・森林育ちの純国産きのこに注目が集まりそうだ。



TOPIC 6

東日本大震災からの復興
各県の取り組み

2011年3月11日に発生した東日本大震災から12年、復興に向けた取り組みが着々と進められている。

東日本大震災による林業・木材産業の被害は、木材加工流通施設115ヶ所や特用林産施設等476ヶ所。大規模な合板工場や製紙工場の被災により、これらの工場への合板用材や木材チップの流通が停滞するなど、林業への間接的な被害もあった。

しかし、震災のあった年に被災工場が順次操業を再開し、木材加工流通施設の復旧も2014年3月末時点で完了したことで、丸太などの素材生産や木材製品の生産はおおむね震災前の水準にまで回復している

被災地の復旧にあたり、公共建築物に木材が多く活用されてきた。東日本大震災以前、応急仮設住宅のほとんどは軽量鉄骨のプレハブ造だったが、東日本大震災では岩手県、宮城県、福島県で建設された約5.3万戸の応急仮設住宅のうち27.5%に当たる約1.5万戸、災害公営住宅2万9,230戸のうち25.0%が木造で建設された


地域材を積極的に活用する取組も行われている。2022年4月に開業した「道の駅ふくしま」では、福島県いわき市や県南地方で生産された丸太を県内の工場で加工した木材が活用され、復興のシンボル的な役割を果たす。

地域経済再生のひとつとして、各県で木質バイオマス関連施設も誕生した。岩手県、宮城県、福島県では2022年9月末時点で、主に間伐材等由来の木質バイオマスを使用する発電所29件がFIT・FIP認定され、そのうち17件が稼働中だ。さらに木質バイオマスの熱利用として、宮城県気仙沼市や岩手県久慈市で熱供給事業が始まっている。

福島県浪江町では、福島再生加速化交付金を活用し、整備した『福島高度集成材製造センターFLAM(エフラム)』が2021年3月に完成し、2022年7月より本格稼働。県産材を活用した集成材を製造しており、中高層建築物等での活用が見込まれる。地域の森林資源が被災地のまちづくりに大きく貢献している。


福島高度集成材製造センターFLAM(エフラム)
東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域の産業の回復・再構築を目指す国家プロジェクト『福島イノベーション・コースト構想』に基づき建てられた施設。福島県産木材の需要拡大と林業の再生を目的としている。

 



DATA

令和3年度 森林・林業白書(令和4年5月31日公表)


文/後藤あや子

FOREST JOURNAL vol.17(2023年秋号)より転載

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