「ニッチな分野で一番を取ろう」小さな販売会社“KANEKO重機”が話題になる理由
2021/08/03
群馬県のとある小さな会社が輸入販売する高性能な海外製アタッチメントが、密かに話題を集めている。その製品が大企業に続々と採用されているからだ。仕掛け人のKANEKO重機社長のインタビューをお届けする。
林業を支える欧州製重機、
その橋渡し役とは
群馬県甘楽郡下仁田町に本拠を置くKANEKO重機は、海外製の高性能・高機能な製品を輸入・販売する。主に二軸粉砕機など、販売から修理まですべてをカバーするという。
好きなものを、圧倒的に。
大手に出来ないことで勝負する
個人や小規模輸入としてならば、海外製品を輸入する人は少なくない。が、誰もが知る大企業に正式採用されるのは容易ではない。ここでは、それを実現した『KANEKO重機』の社長、金子薫さんにお話をうかがった。
「建機メーカーに勤め始め、そこで建機が使われる現状を見て学び、独立したのが5年前、2016年のことです。修理をメインに始め、現在では5人で事業を行っています。まだまだ小さな会社ですが、規模=売上は追わず、他の参入が難しい分野で勝負して来たことが今に繋がったと考えています。
写真:金子薫社長(写真左から3番目)とスタッフ
『ニッチな分野で圧倒的な一番を取って行こう』というのが経営方針です。海外製アタッチメントには、日本で流通している製品より高性能、高機能なものが多く、こうした優れた製品があることは大手商社にも広く認知されています。ただ、事業規模の問題、それにメンテナンス対応に手間が掛かるからか、『日本では売れない』とされ、扱われていませんでした。それは余りにも惜しい。私は『小さい会社ならそれができる』と考えたのです」。
小さな会社が繋がることで
大きな力を生み出す
目の付け所が良くても、大手商社が二の足を踏んだ課題を解決できなければ成功できない。そこで金子さんが頼ったのは……「人」である。建機メーカー勤務の頃から築いていた人的ネットワークは、既に日本全国、ひいては海外にまで広がっていた。また修理メインだった起業直後から、多くの人とディスカッションすることがアイデアが増え効率も良いと考えていたことも幸いした。輸入販売を事業化するにあたり、この人的ネットワークをフル活用することで、販売からメンテナンスまで、日本全国を網羅できる体制を走りながら築き上げていった。
「技術は凄い勢いで進化しています。IT化やスマート林業化だと言われますが、現場で一番大切なのは人間。これは今も昔も、もちろんこれからも変わらないはずです。もちろん当社もSNSやウェブを使ったマーケティングを行っていますが、それは人の負担を軽減させるため。人が一番大切、というのは、もう一つの当社のポリシーです。
そういう意味では、社員にも恵まれました。確かに製品力には自信がありますが、当社のビジネスを支えてくれているのは、社員でもあるんです。このビジネスは『誰から買うか』が重要です。どれだけ機械が良くても『この人なら!』と思って頂けないと売れません。今在籍してくれている社員は、人間力では何処でも通用する逸材ばかり。頼りにしています」と金子さんは語る。
JRの保線作業やNEXCOでの道路維持管理作業にKANEKOが輸入販売する高性能アタッチメントが採用されている。草刈りアタッチメント『SLANETRACHC150』を活用しての保線業務の様子。
高性能機の販売を通して
小さい会社でも林業界に貢献
そんなKANEKO重機の事業は、さらにスケールアップしている。輸入販売の取扱製品に新たに加わった『薪割りプロセッサー』に注目が集まっている。自走式薪割り機で、丸太を投入すればあっという間に薪を作れる。実際に見たい、という声のもと、デモを行い大好評を得たという。
『薪割りプロセッサー』デモンストレーションの様子
カスタマイズのためにも広いネットワーク力をフルに活用、普段より海外まで足を運び知見を広げたりと、全国のユーザーに製品を提供し、製品販売を通して林業界に貢献していく姿は小さな会社とは思えないほどのパワフルさだ。
DATA
薪割りプロセッサー
キャタピラーで自走し、丸太を送るベルトコンベアと玉切り用のチェーンソー付き・ドイツ製薪割りプロセッサー。タイヤをクローラーにするなどカスタマイズが可能だ。
問い合わせ
TEL:0274-67-7832
取材・文:川島礼二郎
FOREST JOURNAL vol.8(2021年夏号)より転載
Sponsored by KANEKO重機