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森林組合法改正案が閣議決定! 法案成立前にポイントを理解しよう

3月6日に閣議決定された森林組合法改正案。今国会での成立が見込まれる改正案によって、森林組合にどんな変化が見込まれるのか。3つのポイントに絞って整理した。

森林組合の経営基盤強化のために
できることとは?

2020年3月6日、政府は「森林組合法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。国会での議論が始まる前に、ポイントをおさらいしてみたい。

今回の改正案は森林組合の「経営基盤の強化を図る」ものとされている。その達成のために、改正案では3つの方向性が掲げられた。

まずは「事業譲渡や新設・吸収分割などの制度」の導入だ。これは『平成30年度森林・林業白書』の「小規模な森林組合を中心として事業・組織の再編等による基盤強化等が必要」という記述とも合致する方向性だ。この流れをさらに加速するために、合併に必要な要件の緩和が見込まれる。事業ごとの譲渡や分割が可能になるか否かも大きなポイントだ。これが認められれば、地域に組合を残したまま、部門毎の合併ができるようになる。ここで想定されているのは主に木材販売事業だろう。木材販売事業を県森連に統合したり、複数の組合で木材販売事業に特化した新組織を立ち上げることで、スケールメリットによる利益拡大が期待できる。



次に掲げられたのは「正組合員資格の拡大」だ。現行制度でも森林所有者本人に加え、その後継者を正組合員に追加することができたが、追加できるのは同一世帯に属する者に限定されていた。この要件が緩和される見込みだ。これによって正組合員の若返りと、女性参画を図る。理事の平均年齢が68歳(※)と高齢化が進み、女性の理事が0.9%(※)に留まる森林組合にとって、必要な措置だと言えるだろう。(※ いずれも『平成30年度森林・林業白書』から引用)

最後に挙げられた「事業の執行体制の強化」も、理事会の活性化を狙ったものだ。販売や法人経営に実践的なノウハウを持った理事を一人以上配置することで経営能力の向上を図る。さらに、年齢・性別に偏りが生じないように配慮することで「正組合員資格の拡大」の取り組みをより推し進めるつもりだ。とはいえ、現実的にそのような人材を確保することは非常に困難であることから、実効性のある制度になるかは今後の議論によるだろう。

同改正案は今国会で成立すると、2021年4月1日に施行される。


TEXT:松田敦

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