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【森林計測手法④人工衛星】将来の森林計測のキーとなる!? 森林管理行政の負担軽減に期待

森林資源の管理や活用を支えるスマート林業。その普及を後押しするリモートセンシング調査技術が注目を集めている。最新の計測ツールが続々と登場する中で、今回は「人工衛星」が持つ特徴と可能性に迫る。

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広域の継続モニタリング向き
低コスト化に期待!

森林リモートセンシングで注目を集めているのが人工衛星の活用だ。100平方キロメートル以上など、広大な範囲を一度に測定できるため、低コスト化を含めてこれまでの森林調査のあり方を大きく変えるポテンシャルを持っている

例えば、AI判読技術を活用して高解像度の衛星画像を解析することで、伐採や再造林後の現地調査をはじめとする森林管理行政の現地調査の負担軽減が期待される。すでに実証や利用が始まっている。

一方、人工衛星による画像利用では、撮影地点上空に雲が広がっていると計測精度に影響が出てしまう。

森林計測技術に詳しい朝日航洋空間情報事業本部の和田陽一さんは「広範囲で確実に雲のない条件で計測するのは現状では難しく、高精度の画像入手はどうしてもコストが掛かります。ただ衛星画像から雲を消す技術や、雲を突き抜けて測定することができる合成開口レーダで高い分解能のものを登載した衛星が登場してきており、これまで空撮で行っていたさまざまな計測業務が将来は衛星に代わっていく可能性があります」と話す。

衛星による点群のGISデータなどを購入して利用することが主流になるかもしれない。

 



 
レーザー搭載ドローンの導入などICT林業を進めている山梨県の林業会社天女山の小宮山信吾社長は「位置情報が入った衛星画像があれば画像処理で点群データを作れます。将来は林業事業体がドローンなどの機器に投資をせず、衛星による点群のGISデータなどを購入して利用することが主流になるかもしれません」と展望する。
衛星搭載センサーの高精度化が今後見込まれる中、森林計測分野で人工衛星が担う役割はさらに広がりそうだ。


文:渕上健太

FOREST JOURNAL vol.22(2024年冬号)より転載

 

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