注目キーワード

機械・ツール

植林も下刈り作業もラクラク!? 人に寄り添う「ロボット」が林業を変える

林業従事者は減少の一途を辿っており、それを補うものとして高性能林業機械が注目されている。しかし、オペレーターには緻密な技量が要求される等の欠点がある。そこで機械で代用するのではなく、高齢者のベテランが離脱するのを防ぐことに焦点を当て、開発されているロボットを紹介する。(前編)

機械化の弱点

昨今の林業界では「機械化」が大きなテーマだ。そこで注目されているのは、いわゆる高性能林業機械。たしかにパワーがあり、使い方次第でこれまで人が幾人も携わり行っていた作業を、たった一人のオペレーターが数倍の速度で仕上げることが可能だ。

ただし、オペレーターには緻密な技量が要求されるし、誤れば逆に残す木々を傷つけたり、土壌を破壊して森林再生を不可能にしてしまう。また現場に機械を入れるための道づくりが欠かせず、広い作業面積を確保するのも大変である。諸刃の剣なのだ。

一方で、肝心の人は減少の一途だ。全国の林業従事者数は2015年時点で4万5450人だが、毎年千人単位で減っている。多くが高齢になって引退する人々だ。しかし林業現場では広範囲な判断が求められるから、経験豊富な人がいなくなることの問題は大きい。機械化だけでは解決しないのだ。

着るロボットで
ベテランをサポート

高齢のベテランを少しでも助けて現場からの離脱を減らせないか。そんな思惑で進められている研究がある。その一つが奈良市の株式会社ATOUNが開発している『パワードウェアHIMICO』だ。これは背と腰、太腿に装着して、山を楽に登れるようにする機械である。いわば“着るロボット”。巨大重機でなく、身につけて人をサポートしてくれる林業機械をめざしている。

 

提供・株式会社ATOUN

 

ATOUNの研究開発テーマは、人体の動きをアシストするパワードウェアである。藤本弘道社長は、福祉介護用のロボットを作りたいと起業したという。

「まず中腰姿勢をキープしたり物を持ち上げる作業をアシストするモデルYを開発しました。これは腰を支える腰方形筋の約40%、その下の胸最長筋も約10%負担軽減しました。充電式のリチウム電池で約4時間稼働します。次に取り組んでいるのが歩行補助タイプのHIMICOです」(藤本社長)

すでにモデルYは、介護現場だけでなく、流通や製造工場の現場、それに農業などで実用化されてきた。意外や求められる現場は広かったのである。

思えば機械化された工場内でも、部品をラインから移動させたり床に置かれた箱を持ち上げたりと、人力に頼る部分はまだまだ多い。それに対人仕事では、相手の顔や動きを見ながら対応しなければならないから、機械にすべて任せるわけにはいかない。

「HIMICO」も、必要な物をちょっとした段差のある場所や階段を登って運ぶ場合に腰や足にかかる負担を軽減するのが目的だ。これを林業でも使えないかと試みているのだ。
 

 

PROFILE

森林ジャーナリスト

田中淳夫


静岡大学農学部林学科卒業後、出版社や新聞社勤務を経て独立し、森林ジャーナリストに。森林や林業をテーマに執筆活動を行う。主な著作に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『絶望の林業』(新泉社)など多数。奈良県在住。

林業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. オカダアイヨンの林業機械4選。「切る・つかむ・集める・破砕する」で現場を効率化
  2. 【2025年版 チェンソー7選】メーカーに聞く「林業向け」機種、最適な1台は?
  3. ハーベスタの能力を引き出す日本キャタピラーの林業仕様機。 最適な組み合わせで現場の生産性を高める
  4. フリーマガジン「フォレストジャーナル」最新秋号 9/1発行!
  5. 林業用ヘルメットがクマ対策に!? 仕掛け人に聞く「PROTOS®」は、なぜ有効か
  6. ベテランフォレスターが徹底比較! 現場目線で語るアイテム試着レビュー【ヘルメット編】
  7. 林業に役立つ人気アイテムを抽選でプレゼント! 応募受付は2026/12/6まで!
  8. 作業コスト計算、やるか、やらないか、それが問題だ。黒字化へ導く林業経営のリアル【次世代林業Lab】
  9. プロ向け刈払機用ナイロンコード『テラマックス』がオレゴンから発売
  10. 林業現場に広がるメンタル支援。カナダで無料相談プログラムが導入へ

フリーマガジン

「FOREST JOURNAL」

vol.29|¥0
2026/9/1発行

お詫びと訂正

» Special thanks! 支援者さま一覧はこちら