地球温暖化から暮らしを守るために、木を使い、森を育てる【後編】再造林は逆効果なの?
2023/07/14
地球温暖化を食い止めるためには、生き物にとっても重要な役割を持つ森林を保全し、その機能を維持させ続けることが不可欠。では、伐採をして木材を利用するのはやめた方がよいのだろうか?
再造林と地球温暖化
木材を使うことのよさは知っているけれど、ほんとうに森林の木を伐ることが、温暖化の抑制につながるのだろうか?人工林の多くが伐採適期を迎えているが、せっかく二酸化炭素を吸収してくれている森林をほんとうに伐ってしまって大丈夫なのだろうか?
ここで、大事な視点が4つあります。
1.再造林
高齢木よりも、若い木のほうが炭素の吸収量が多いということ。つまり、伐採適期を迎えた高齢木を伐って木材として長く利用することで炭素を蓄積し、再造林して若い木をしっかり育てることで、吸収量を増やすことができる、ということです。
2.管理
天然林や生物多様性の高い森、防災林や水源かん養林など保全林として管理し守るべき森と、林業のために育ててきた人工林を区別すること。どんな森でも伐っていいわけではありません。
3.国内で循環
樹齢50年を超えて、二酸化炭素の吸収量も落ち、木材としては伐採適期となった大径木をしっかり国内で活用できる道筋をつけること。伐って、木材を利用し、植えて、育てる流れがとどこおりなく循環すれば、林業は健全な産業となります。伐って利用する木材が多くなると同時に、植林して再造林していくことで、炭素は確実に蓄積され、吸収量を維持していくことができます。
4.木材利用
木材としての利用を増やして、暮らしの中に、木材として炭素を貯めていくことが、地球温暖化から、わたしたちの暮らしを守ることにつながる、ということ。木を伐採して、その木材を長く利用することで、暮らしの場が、温室効果ガスの炭素を蓄積する貯蔵庫になるのです。
■【わたしたちにできること】
●国産の木材をたくさん使うこと=木材のカタチで炭素を貯める
●日本の林業をうまくまわすこと=森林を若返らせて、よりたくさんの温室効果ガスを吸収できるようにする
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公益社団法人 国土緑化推進機構発行「森林と気候変動 おとな版」より抜粋・編集
イラストレーション:堀川理万子
FOREST JOURNAL vol.16(2023年夏号)より転載