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成長速度約1.5倍、花粉量down、CO2吸収量upの「エリートツリー」!? 日本製紙が生産へ

成長が早く、二酸化炭素の吸収量が多いことから脱炭素化の切り札として注目されるエリートツリー。今年1月、日本製紙が大手企業では初となる苗木の生産を本格化すると発表した。

国内林業の期待の星
「エリートツリー」とは?

エリートツリーとは、スギやヒノキなどから成長の早い個体を選んで交配し、育った木からさらに優れた個体を選出した、まさに「木のエリート」。標準的な品種と比べ、約1.5倍の速さで成長し、およそ30年という短期間で伐採が可能になる。

コスト削減につながるだけでなく、「二酸化炭素の吸収量が従来の品種に比べて多い」、「花粉量が一般的なスギ・ヒノキの半分以下」、「幹の通直性の曲がりがない」といった優れた特徴を持ち、 “林業の救世主”ともいわれる期待の星だ。

政府では「2050年までに林業用苗木の9割以上をエリートツリーにすること」を目標に掲げている。

 

九州、北海道に続き、本州でも
エリートツリーの苗栽培を開始

今年1月、製紙業界シェアトップの日本製紙が国内の大手企業に先駆け、エリートツリーの苗木の生産を本格化すると発表した。

日本製紙ではすでに熊本県と北海道でエリートツリーなどの苗栽培をスタートさせているが、さらに静岡、鳥取、広島、大分の4県が加わり、生産の規模を拡大。各県に樹木園(採種園・採穂園)を造成するとともに、地元の山林種苗協同組合員や新規生産者と協業体制をつくり、2024年より本州でも本格的なコンテナ苗生産を始める。


林業種苗法に基づくスギ種苗配布区域(国内7区域)のうち三区(静岡県)、四区(鳥取県、広島県北部)、五区(広島県南部)、六区(熊本県、大分県)、七区(北海道)において、CO2吸収能力が高く、成長に優れ、花粉量が少ない等の特徴を持つエリートツリー等の苗生産に取り組む。

今回の計画では60万本規模のエリートツリーなどの苗増産を見込んでいて、各地の樹木園を拠点に全国の森林業者に苗の販売を行う準備も併せて進めているという。

この新しく造成される樹木園の採種園は、ビニールハウス内で人工交配を行う閉鎖型の施設を採用。従来の露地での開放型に比べ、エリートツリーの特徴が充分に引き継がれた種子の早期の生産と、生産量の増加が可能となるそうだ。



2050年までに9割以上の
社有林を「エリートツリー化」


日本製紙は、国内に約400カ所・総面積約9万ヘクタールの社有林を保有する大規模森林所有者である。

林野庁は、林業用苗に占めるエリートツリー等の割合を2030年までに3割、2050年までに9割以上を目指す方向性を掲げている。しかし日本製紙は、その目標に対して率先した対応を目指している。今後は社有林の再造林地に、自社のエリートツリーなどの苗を順次植林することで、「社有林のエリートツリー化」を2050年よりも早期に達成する見込みだ。

日本製紙では、これまでに木を自ら育てて収穫・活用し、それを繰り返すことで持続可能な原材料調達を行う「Tree Farm構想」をもとに、ブラジル・チリ・オーストラリアの海外植林事業を行ってきた。

今まで培ってきた生産技術を活かし、日本でのエリートツリーの普及を進めていく。国内林業の活性化と脱炭素社会の実現、さらには花粉症に悩まされる人が減少するといった未来の日本に期待して、今後もますます注目していきたい。

日本製紙株式会社ホームページはこちら


文/後藤あや子 

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