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おいしく“食べて”、放置竹林の問題を解決! 「延岡メンマ」の美味しい取り組み

LOCAL BAMBOO株式会社(本社:宮崎県延岡市)が2020年11月より生産・販売を始めた「延岡メンマ」。規格外の地元産タケノコをメンマに加工し、地域の「竹害」を解決する“おいしい”取り組みだ。

竹害の解決だけでなく
生産者の収入増にも貢献

面積の約80%が山林の宮崎県延岡市は、阿蘇の噴火による火山灰の土壌と、日照時間の長さに恵まれたタケノコの産地。「金の筍」というブランド食材として出荷され、関東を中心に高級料亭などで提供されている。

その一方で、森林所有者の高齢化や林業の担い手不足などから、手入れが行き届かない森林が増加し、木の生育の妨げや地すべりの原因となる「放置竹林」が問題になっていた

そこで立ち上がったのが、地元延岡市出身の江原太郎氏。2019年に宮崎に拠点を移し、県内の生産者を紹介する情報誌と、その生産者が収穫・加工した食材を⼀緒に届ける「宮崎ひなた食べる通信」などの事業を手掛けている。

江原氏は、山に放置されてしまう規格外のタケノコに着眼。メンマに加工することで生産者の収入増加にも貢献できる。

これまで育ち過ぎてしまったタケノコの処理は、廃棄もしくは放置のいずれかで、収穫されずに残ったタケノコはそのまま竹になり、手入れが行き届かない放置竹林が広がる原因となっていた。プロジェクトが始まった2020年11月からの1年間で約400kgの竹を『延岡メンマ』として生産・販売し、この活動は約1000㎡の竹林管理に相当するという。



国産メンマ一大生産地として
地元の一次産業を盛り上げる

味にもとことん追求した『延岡メンマ』。延岡のブランド農産物「七萬石とうがらし」と、全国の鑑評会で高い技術を評価されている渡辺味噌醤油醸造の「赤麦みそ」を使用。

ピリ辛な味わいとやさしい歯ごたえは、ラーメンやごはんのおともだけでなく、バニラアイスやトーストにトッピングしても美味という、おしゃれな食べ方の提案もしている。

そもそも日本で出回っているメンマは台湾産がほとんど。この『延岡メンマ』は、延岡に生息する孟宗竹を使用した国産100%だ。宮崎県を国産メンマの一大生産地として地域の一次産業を盛り上げていこうと、2021年6月にはJA延岡と業務提携を締結し、規格外のタケノコを原料として出荷することが可能になった。

地域と連携した
「延岡メンマムーブメント」

一次産業だけにとどまらず、2021年4月には、地元の障がい者の就労支援事業所「悠々工房」とともに農福連携の取り組みも開始。規格外タケノコの入荷・加工作業を委託し、延岡メンマの製造を連携して行う。

さらに同時期、メンマに加工する際に大量に発生する皮や切り落としの残渣を、牛のエサとして地域の畜産農家に提供する試みも始まった。これまでは残渣のほとんどが廃棄されており、フードロスの解決にも貢献している。

「延岡メンマ」は、まさに地域の人々を悩ませていた山の「竹害」を、地域の「宝」に変えた取り組み。現在、頭を抱えている問題に未来のヒントが実は隠れていることを教えてくれる。

DATA

延岡メンマ


取材・文:後藤あや子

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