地域材を地元の匠が仕上げる! 5つの樹種を用いた「純国産スツール」で森林の活性化へ
2020/11/26
地域の木材を使って、地域の職人が家具を仕立てる。株式会社フォレストヴォイスは、そんな家具業界初のコンセプトを掲げたスツールを12月1日より販売する。代表の桃澤直彦さんにお話を伺った。
日本の木の魅力を、
肌で感じられる家具を
「世の中に国産家具はたくさんありますが、実はその9割以上は海外からの輸入木材でつくられています。使用する木材の地域にまでこだわった家具となると、ほとんど存在しません」と桃澤さんは語る。
背景にあるのは流通ネットワークの問題だ。市場に出回っている国産材のほとんどは針葉樹で、椅子などの家具に適した広葉樹を、国産材だけで安定的にまかなうのは非常に困難だ。
その一方で「できるなら国産材の家具を使いたいというユーザーの潜在的なニーズは必ずある」と、30年以上に渡ってインテリ業界で働くなかで感じていた桃澤さん。そこで「本当の意味での純国産家具」を手がけるために2019年に株式会社フォレストボイスを設立。
「地産地匠」をコンセプトに掲げ、地域材による家具作りという取り組みに賛同してくれるパートナーを探し始めた。業界でも例のない試みだけにパートナー探しは難航したが、それでも桃澤さんは諦めることなく粘り強く全国の家具工房に声をかけていった。
デザインを手がけた新潟県糸魚川市の有限会社匠
そうして生まれたのが純国産スツール「森(きりん)/giraffe」だ。今回は新潟県糸魚川市のブナ、岡山県真備町のタケ、神奈川県横須賀市のケヤキ、福岡県大川市のクス、奈良県吉野地方のスギの5つの樹種を使い、地元の職人がそれぞれの樹種の個性を生かしながら共通のデザインのスツールを仕上げた。
「デザインは共通ですが、樹種の特性によって木の組み方や仕上げの加工は微妙に異なってきます。色や艶、木目模様、手ざわりも樹種ごとの個性があります。共通のデザインを採用することで、それを際立たせることができました。それぞれに異なる木の表情を楽しんでほしいですね」
上段左からタケ(岡山県倉敷市:株式会社テオリ)、スギ(奈良県吉野村:イズル)、クス(福岡県大川市:立野木材工芸株式会社)/下段左からブナ(新潟県糸魚川市:有限会社匠)、ケヤキ(神奈川県横須賀市:工房KONASO)
今後は地域材や家具の種類を増やしていくほか、「作り手と使い手をつなげること」にも取り組んでいきたいという。
「自分の愛着のある地域の木で、顔の見える職人さんにひとつの家具を仕立ててもらう。それが結果的に地域の森の活性化にもつながっていく。そうしたストーリーそのものを届けていきたいんです」と桃澤さんは顔をほころばせる。
現在はクラウドファンディングサイト上で12月6日まで先行予約を受け付けているほか、12月1日からはECサイトに加え、新たにオープンするフォレストヴィスのショールーム(東京都江東区深川2-2-15 原ビル103)でも購入することができる。
「ショールームでは5種類のスツールを実際に手に取って選んでいただけます。ぜひお気軽にお立ち寄りください」
DATA
取材・文:松田敦