行政・林業現場に届け、この技術。スマート林業を実現する《森林GISサービス》とは?
2023/02/03
磐城流域いわき地区
林業活性化センター事務局長 松﨑正信さん
「森林クレジットとしての活用も視野に」
福島県磐城流域で事業を行う林業会社と加入団体で構成される「いわき市持続可能な森林・林業推進会議」。そこに所属する林業活性化センターの松崎さんに地域版森林クラウドの感触について聞いた。
Q / これまではどのような共有方法でしたか?
スマート林業の目的は、経営の効率化や材の安定供給です。今までは、会議や集まりの場を利用したり、電話やFAX、メール等を使ったりして情報を共有してきました。有効的な運用方法をまだ模索している段階で、業務等にどのように活かせるかはこれからですが、これまでのやり方も継続しながら、地域版森林クラウドを利用して、川上側の森林施業情報を川中、川下側と共有したいと考えています。
Q / 今後はどのような活用を期待しますか?
地域版森林クラウドシステムは、『林野庁 スマート林業構築 普及展開事業』での導入でしたが、今後、森林認証地域の境界明確化区域における森林施業計画情報・森林資源情報等の高度化と情報管理をシステムで行っていくことで、森林の価値を可視化するツールを作り、森林クレジットとして活用できないかと考えています。
課題は人材だろうか。
地域版森林クラウドシステムは、現在、「磐城流域いわき地区林業活性化センター」が管理し、運用は「いわき市森林組合」で行っている。森林クラウドシステムの使い勝手については、多くの林業関係者に共通している次のような課題を挙げた。
Q / 使い勝手はいかがですか?
このシステムを使用するためには、一定のデジタル的な知識が必要です。組合内にその人材がまだ少ないうえ、組合自体の人手が足りず、適切な人材を専任で任せられないため、運用に時間がかかるという課題も生まれました。
そこで、運用するにあたり、足りない人材をパシフィックコンサルタンツさんへ業務委託することも検討中です。パシフィックコンサルタンツさんとは、ミーティングを重ねながら使用感を共有し、随時、アップデートも行ってもらっています。
スマート林業推進だけではない!
無限の可能性を秘めたPCFIMaS
パシフィックコンサルタンツでは、森林管理全体を、Plan=森林計画、Do=森林整備・管理、Check=モニタリング・検査、Action=計画見直し、というように「PDCAサイクル」に当てはめている。
現状、多くの行政や森林組合など現場では、PDCAを紙ベースと人の経験値に頼ったアナログ情報でのやりとりしているため、情報共有が分断されている。
PCFIMaSは、森林クラウドを使ってデジタル情報を関係者間で共有され、PDCAサイクルは一切分断されない。また、行政への補助金や届出書類の申請もクラウド上で共有される。もしも伐採届で誤ったデータが入力された場合は、確認(エラー)メッセージが表示されるため(PCFIMaS新機能)、事務処理の効率化に繋がるのだ。
さらに、登記簿や登記図などの所有者情報や伐採・造林実績といった植栽データ、樹頂点データ等の航空機レーザー計測データといった、それぞれの情報をPCFIMaS内で各々に管理するので、情報の更新がスピーディーに行え、情報の精度・鮮度の向上が図れる。
パシフィックコンサルタンツは、森林GISの開発・導入で培ったノウハウを森林クラウドサービスとして提供し、森林行政や地域林業の現場におけるスマート林業を見事に推し進めた。
それだけではなく、森林クラウドサービスは環境面での利用や、防災・安心・安全に関する情報を共有する。森林クラウドサービスが中山間地域における地域共有のプラットフォームとして展開できるため、新たなビジネスを創発し、地域の活性化への寄与も期待できる。
PCFIMaSは、まさに無限の可能性を秘めた “部品” 群と言えよう。今後さらなる進化が期待される。
問い合わせ
パシフィックコンサルタンツ株式会社
TEL:03-6777-3001(大代表)
https://www.pacific.co.jp/
取材・文/脇谷美佳子
Sponsored by パシフィックコンサルタンツ株式会社