福岡・佐賀発! 地域材や間伐材を活用した次世代の内装材「SKINWOOD®」
2021/11/23
中村製材所(本社:佐賀県佐賀市)が開発した『SKINWOOD®』は、森林保護の国際認証・FSC®認証材で作る環境に優しい突板(つきいた)。SDGsの取組に加え、日本林業と地域経済活性化を目指している。
日本国内でいち早く
国際的な「FSC®認証」を取得
ドイツに本部を置く森林管理の国際協議会・FSC®は、環境保全の点から見て適切で、社会的な利益に適い、経済的に継続可能な責任ある森林管理を世界に普及させることを目的に設立。
FSC®による“適切に管理された森林”の証となる「FSC®認証」には、森林管理に関する「FM認証」と、加工・流通過程の管理に関する「CoC認証」の2種類があり、いずれも5年ごとに更新のために綿密な年次審査が必要となる。
1950年創業の中村製材所は、佐賀県初となるFSC®のCoC森林認証を2006年に取得。今年で16年目を迎える。九州電力や宮崎県諸塚村が管理するFSC®認証森林のほか、海外のFSC®認証森林から木材を調達し、自社で加工した建材や家具などを販売している。
2006年には、FSC®認証材を使った内装材『SKINWOOD®』を開発。森林資源の保全だけでなく、国産の小径木(しょうけいぼく)の有効活用と地域経済の活性化にもつながる次世代の内装材だ。
地元で約70年の歴史を持つ中村製材所。現在は3代目の中村展章氏が代表取締役を務める。
小径木の新たな活路を見出す
『SKINWOOD®』
『SKINWOOD®』は、「突板」と言われる内装材で、おもに天井、内壁、家具、ドアなどの表面に張って使われている。
材料となるのは、10~20年で成長する間伐材や直径20~30cmの小径木で、これらをつなぎ合わせた集成材を薄くスライスしてつくられている。
これまでは直径が大きい天然木でしか出せなかった柾目を、ケミカルプリントの壁紙などで代用していたが、本物の木で実現可能に。また、天然木の突板の難しい課題となる「木目の均一性」や「風合い」も、独自の技法で美しく表現できる。
天然木よりもコストパフォーマンスや高い生産性も魅力で、森林保全などで伐採される地域材や小径木の新しい活用法として脚光を浴びている。
スキンウッド種類。美しい柾目が特徴。不燃、抗菌、抗ウィルスの性能も備える。
日本の林業に
新たな価値を見出す
『SKINWOOD®』は佐賀県庁の知事室や佐賀市役所の内装、九州経済調査会が運営する会員制ライブラリー「BIZCOLI(ビズコリ)」(福岡市)のほか、県内外の自治体の庁舎に使用されている。小径木から作られる美しい木目はデザイン性の高さだけでなく、天然木ならではの安らぎや心地よさを空間に醸し出す。不燃、抗菌・抗ウイルス性能も備えており、保育園や福祉施設、商業施設など人が集まる空間にも最適だ。
国連が掲げる持続可能な開発目標・SDGsに関心が高まるなか、FSC®のCoC森林認証の製品ということで海外からの問い合わせも多く、現在はフランスの高級ブランドへの提供も決定しているという。
森林資源の保全、環境問題、地方創生、国内森林の有効活用など、さまざま問題をカバーする『SKINWOOD®』。日本の林業の新しい価値を見出す製品として今後も注目していきたい。
佐賀市役所の内装や家具、オブジェなどに使われている。
問い合わせ
株式会社中村製材所
(支社:福岡県大川市)
FSC®C022549
取材・文:後藤あや子