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【馬搬のニーズとは?】ワールドワイドな活動から学ぶ、世界に通用する日本の馬搬技術

国内に留まらない多彩な活動
技術指導にブランディングも

馬搬技術を後世に引き継ぐため、馬方の技術指導、馬育成に力を注ぐ岩間さん。人材育成のため若い世代に向けた研修も行っている。

岩間さんの活躍は、国内だけに留まらない。

2011年にイギリスで開催された「馬搬技術コンテスト」に出場し、優勝したのを皮切りに、ドイツ、フランス、アメリカなどをコンテストや視察で訪問。

また、セネガルやモザンビークなどアフリカへは、技術指導をするために度々滞在している。

馬搬の技術は、日本に限定されたものではなく、世界中に場所を移しても通用するものなのだと、岩間さんの多彩な活動を通してうかがい知ることができる。


アフリカの農業では、電力機械よりも畜力を活用する方が持続可能的。そのための技術指導や現地調査のほか、農機具メーカーと共同し、アメリカの土地にあった農機具の開発にも携わる。

また、そうしたワールドワイドな活動を経て、岩間さん自身、国内でのビジネスにフィードバックできるようなヒントが得られることもあるという。

「ヨーロッパのワイナリーでは、ぶどう畑で馬を使う人が増えています。

幹に土を寄せたり戻したりする作業があるんですが、機械ではなかなか難しい。あと、機械と馬では重圧が違うため、馬が歩くほうが土が固まらず根の張りもよくなる。それに加えて、手法がオーガニックでイメージもいいので、ブランディング戦略としても馬を採用するメリットが大きいわけです。

それを見て、日本でも馬耕を使った日本酒ができないか、と。馬で耕して、無農薬で作ったお米で日本酒をつくる。ずっとやりたいことのひとつだったのですが、このコロナ禍で踏み出すことができました」。


無農薬・馬耕によって栽培した酒米「五百万石」で醸した日本酒「田人馬(たじんば)」。

現在は、大小様々な7頭の馬を飼育。全頭に、馬搬、馬耕、そして、流鏑馬の技術なども教え込み、性格や体重などに応じて、林業や農業はもちろん、イベントやお祭りなどで適宜稼働させているという。

「色々なことをやっておくのが、生きる道なのかな、と。その場合、役に立つのは遊びしかないと思っていて。結局興味関心の対象であり、楽しそうなことを一生懸命やっていたらいずれ役に立つ。馬耕や馬搬もスポーツだと思っていて。仕事だと思うと大変だけど、スポーツとして捉えると楽しくなるじゃないですか」。

馬とともに楽しみながら。今後も岩間さんの活動は広がっていく。

 

PROFILE

一般社団法人馬搬振興会・
株式会社三馬力

岩間敬さん


取材・文・写真:曽田夕紀子



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