持続可能な林業経営に欠かせない! 4つのポイントから見る低コスト再造林の最新動向
2020/10/20
持続可能な林業経営に欠かすことのできない再造林。この「初期投資」をいかに圧縮して、収益性を高めていけばいいのか。今回は4つのポイントをチェックしよう。
Point 1
コンテナ苗の活用
コンテナ苗とはMCコンテナで育成された「根鉢付き苗」のことです。最大の特徴は、活着がよく季節を問わずに植栽できること。これによって伐出後すぐに植栽する「一貫作業システム」が可能になりました。
根の形状やサイズが均一なので、経験の浅い作業者でもスムーズに植えられ、植栽効率は裸苗の約2倍になるといわれています。今後はいかにコンテナ苗のコストを下げるかが課題です。
Point 2
一貫作業システム
伐出と造林を一体化することで、高性能林業機械を用いた造林作業を可能にする一貫作業システム。
木寄せや集材に使ったグラップルローダーを末木枝条の整理や地表かき起こしといった地拵えに、搬出のためのフォワーダを苗木の運搬に活用するなど、これまで人力で行われていた作業を機械化することで生産性の向上を図ります。
Point 3
育林期間の短縮と育林の省力化
スギ、ヒノキ、カラマツの特定母樹やエリートツリーなど、成長の早い苗を植林することで育林期間を30年前後に短縮できると期待されています。
林業のサイクル全体が短くなれば、再造林の意欲も高まるでしょう。同時に「低密度植栽」を実施すれば、苗木代や植栽作業のコストを削減でき保育間伐の回数削減も狙えます。
Point4
下刈り回数の削減
全育林コストの約4割を占める下刈り作業。その回数の削減は再造林の低コスト化に直結します。ポイントは下刈の要否を、その年ごとに判断すること。
一般的には、植栽木が雑草木に覆われる可能性が低い場合は、下刈を実施しなくても影響は少ないとされています。大苗や成長の早い苗を利用することも下刈の省力化に有効です。
監修:寺岡行雄教授(鹿児島大学農学部)
文:松田敦
FOREST JOURNAL vol.5(2020年秋号)より転載