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林業で一番大事なスキルとは? 業界で用いられる「意識改革」の意味を考える

林業業界でしばしば用いられる「意識改革」という言葉。一見スマートな言葉に思えるが、実は違う意味合いを持っているかもしれない。林業を「経営」の視点で考える、FOREST MEDIA WORKS Inc.のCEO楢崎達也氏の誌面連載コラム。

「意識改革」とは
何かを考える

このコラムでは、林業を「林業」の視点ではなく「経営」の視点で考えています。僕自身、29歳で初就職して以来(笑)、17年程、林業業界で仕事をさせていただいています。その間、林業業界で、みなさんの上司が必ずおっしゃられている、あの言葉について考えてみたいです。あの言葉、そう「君達には『意識改革』が必要だ!」の「意識改革」です。
 
僕は以前から「意識改革」の意味を問い続けてきました。まず「意識改革」は抽象的な表現であり、具体策ではありませんね。「精神論はよくない」という風潮がある中で、精神論を説いている状況です。というか、何をすれば、「意識(考え方)」を「改革」できるのでしょうか。僕は思わず、鬼才スタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」を思い出します! マニア(笑)。
 
先日、熊本県南部に行った時に「意識改革」という言葉について論戦する機会がありました。この言葉を聞くと何故か脳がストップし ようとする感覚、その疑問が少し解けました。「意識改革」、この言葉は個人の思考の全否定に近い意味合いを持っているように感じます。「君のその行動を改めよ」よりももっと強い「君の考え方を総入れ替えしないと。もう、全くダメ」と言われているに近い。
 
また、「意識改革せよ!」と言われて、それが実現できた組織を僕は知りません。一方で、具体的な活動・行動をしたことで喜ばしい成果が出て、その成功体験を踏まえて、物事の考え方が前向きに変わったという人々・組織は見てきました。僕は「意識改革」とは目的でもなければ、手段でもなく、成果が現れた際に起こる心の状態を表す言葉だと思います。



主体的で具体的な行動が重要
精神論ではやはりダメ

前号でも書きましたが、我々が林業という業種を選ぶのは、幸せになれると思っているからです。幸せに近づくために検討し、具体的な行動をすることで自己実現し、成長ができるのだと思います。精神論ではやはりダメで、具体的な行動がなによりも先決だと思っています。その上で、主体的で具体的な行動(解決策)を生み出すスキル、これが一番大事なスキルなのではないかと思います。
 
「意識改革」は一見するとカッコ良くて、ソフィスティケートされたように思える言葉ですが、実はなんとも恐ろしい言葉……。最後に、研修講師をさせていただいた後に、95%の確率でよく言われるコメントで締めたいと思います。
 
「楢崎くん、君の言うことも分かるけど。やっぱり、『意識改革』が大事だと思うんだよなぁ」。
 
次号でお会いしましょう(笑)。
 

PROFILE

FOREST MEDIA WORKS株式会社
CEO 楢崎達也

カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2019プロデューサー。


FOREST JOURNAL vol.3(2020年春号)より転載

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