重機のAI制御に仮想環境が有効! スーパーコンピューターで訓練された世界初のAI制御型森林機械
2025/06/05

スウェーデンのウメオ大学で、人間の介入なしに森林機械を操作するAIシステムを作ることに成功した。重機のAIによる自律制御の成功は今回が世界初で、スーパーコンピューターでの事前トレーニングが功を奏した。
仮想と現実のギャップを埋める
世界初のAI制御型森林機械
これまで、重機のAI制御には大量の学習データが必要とされてきたが、現実でのデータ収集はコストがかかり、リスクも高く、常に現実との乖離を伴ってきた。
そんな中、今回スウェーデンのウメオ大学の研究では、スーパーコンピューターの事前トレーニングを使い、世界初の森林機械を操作できるAIシステムの開発に成功した。
この深層強化学習という手法は、複雑なシステムの制御において超人的な能力を発揮してきたが、油圧などの複雑な制御を必要とする重機での応用は難しく、小型ロボットなどに限られていた。
研究開発の多くは、シミュレーターのような仮想環境で行われている。しかし、この物理シミュレーションに基づいた仮想環境は「リアリティギャップ」もあり、事前に訓練されたモデルが物理的なマシンを制御する際にAIが予期しない、望ましくない行動をとる可能性もあった。
今回の研究では、トライアルを重ねるごとにAIのパフォーマンスが向上してギャップを埋めることが証明された。同研究は、2つの論文で発表され、ストックホルムで開催される森林研究の世界会議IUFROで発表される予定だ。
画像クレジット:©Viktor Wiberg, Umeå University
DATA
文/靴家さちこ