【FORESTRISEリポート③】自動車部品の大手企業が森林の再生事業に参入
2024/10/09
2024年9月18日(水)~20日(金)、林業イノベーションが集まる展示会「FORESTRISE 2024(第4回次世代森林産業展)」が、東京ビッグサイトで開かれた。展示されたソリューションのなかから、森林の再生事業に参入した自動車部品の大手企業を紹介する。
森林の強靭化や持続性の
サービスに領域を広げる
FORESTRISEとは、森林資源を共通の基盤とする川上の林業から、川中の林産業、川下の木質バイオマスまでを包括的な一つの産業として捉えたフォレストビジネスを表すFORESTと、(太陽などが)出る、昇る(人が)立ち上がる、起きる(数量が)増える(価格が)上がる、上昇する(物事が)始まることを意味するRISEを組み合わせた造語だ。日本の森林産業の再生、活性化を願って名付けられた。
非住宅・中高層・大規模建築物の木造・木質化や、プラスチックの代替となる木材由来マテリアルなど、あらゆる場面でSDGsや脱炭素社会の実現を視野に入れた「木づかい」の潮流が生まれ、森林産業へ注目が集まりつつある。FORESTRISE 2024(第4回次世代森林産業展)には、63社・団体、74のブースが出展した。生産性・安全性・収益性の向上や、労働の軽労化、省力化につながるソリューション、さらには森林全体の強靭化、持続性に向けたサービスにまで領域を広げて開催された。
ワイヤーハーネスの大手企業が
森林の再生事業に参入
矢崎総業の展示ブース
1941年創業の矢崎総業は、自動車に必要な電線や情報回路を束ねた、クルマの神経ともいえるワイヤーハーネスで世界トップクラスのシェアを誇る。基幹事業となるワイヤーハーネスのほか、グループとしては、生活環境機器の製造、介護事業などの新規事業も展開している。近年は、森林の再生事業やリサイクル事業、農業といった環境分野にも注力している。
矢崎総業のブースでは、林業従事者向けの専用車両「YAZAKI Forestry Vehicle」が展示され、注目を集めていた。この車両に、林業専用アプリケーションとJVCケンウッドの無線機器を搭載することで、林業専用車が林内での通信のハブとなり、林業従事者の快適性や安全性を向上させることができる。矢崎総業は、高知県梼原町と連携して「木質バイオマス地域循環利用プロジェクト」を立ち上げ、間伐材や端材を利用して作る木質ペレットを冷暖房などの燃料として利用する取り組みを進めている。この事業を梼原町、森林組合、矢崎総業が共同で行い、2008年からペレット工場が稼働し、木質ペレットを核としたエネルギーの循環利用を実現している。
DATA
取材・文/ 高橋健一