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地域と共生する《太陽光発電》と世界的な《森林減少》への対策とは?

林野庁発表の「森林・林業白書」の重要な点をナナメヨミ! 今回は、自治体や各省庁で見直しが検討されている、地域との共生に向けた太陽光発電と、世界の森林が減っている問題を解説する。

TOPIC 3

太陽光発電
地域と共生するために

近年、太陽光発電設備のための林地開発が増えている。

しかし、傾斜地にある発電施設から土砂が流出したり、地域の景観や周辺地域の環境に影響を与えるなどの問題もみられる。自治体や各省庁では、地域との共生に向けた制度の見直しが検討されている。

林野庁では、太陽光発電設備の設置に関した林地開発については、2023年4月から規制対象となる開発面積の規模を0.5ha超に引き下げる(現行は1ha超)ほか、防災措置を行うために必要な資力や信用、能力を有することを証明する書類の添付を義務付けた。

さらに、開発行為の一体性を判断するための目安や、より強い雨量強度に対応できる防災施設の基準を明確化するなど、以前よりもハードルを上げて、太陽光発電設備のより適切な導入を行うことになった

天気予報で「これまでに経験したことのないような大雨」が繰り返されている現在、もはや地域と共生できない太陽光発電はありえないといえるだろう。



TOPIC 4

世界の森林が減少!?
何が必要なのか

1990年以降、世界の森林はリビアの面積に相当する1億7800万ha減少している。

「世界森林資源評価2020」(国際連合食糧農業機関/FAO)によると、2020年の世界の森林面積は、世界の陸地面積の31%を占める約41億ha。2010~2020年の間に世界全体で年平均470万haの森林が減少し、アフリカ、南米等の熱帯林を中心に減り続けている。こうした開発途上国の森林減少・劣化による温室効果ガスの排出量は、世界全体の1割を占めるという。

減少スピードは新たな植林や自然増加により鈍化しているが、世界的な森林減少を止めるには、林業に関わる人たちは具体的に何をすればいいだろう? 

その答えのひとつが「合法木材の確実な供給」だ。

森林減少・劣化につながることとして、発展途上国などでの違法伐採や国際的な違法伐採木材の流通がある。日本では「クリーンウッド法」という法律のもと、合法木材の流通を増やし、違法伐採木材を締め出している。この法律が改正されて、2025年を目途に木材の合法性の確認が義務になる。

これからは、林業にも、伐採届など必要な手続きをしっかり行った木材であることを証明して供給することが必要になってくる。

日本全国で合法木材の利用を当たり前にすることで、世界の森林減少を止めることに貢献し、国産材の需要拡大にも結び付く。また、「FSC認証」や「SGEC認証」など、森林経営の持続性などの基準を満たす森林を第三者機関が認証する森林認証の取得も、消費者の選択的な購入に結び付くだろう。



DATA

令和3年度 森林・林業白書(令和4年5月31日公表)


文/後藤あや子

FOREST JOURNAL vol.17(2023年秋号)より転載

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