鳥獣被害に悩む農林業者と初心者ハンターをマッチング! ハンターバンクの取り組み
2022/01/31
神奈川県小田原市と小田急電鉄が連携し、鳥獣被害の問題解決に取り組むハンターバンクが2021年11月からスタート。免許を所有していても活動の場がないペーパーハンターよ、いざ小田原に集え!
官民連携で持続可能な
獣害対策の実現を目指す
今、日本の山間部で深刻な社会問題となっている鳥獣被害。林業の被害面積は5,000ヘクタール(令和元年 林野庁調査)とも言われている。地元ハンターによる有害鳥獣駆除の捕獲頭数は上昇傾向にあるが、ハンターたちの高齢化が進み、将来の担い手の確保していくことが近々の課題だ。
その問題解決にタッグを組んで乗り出したのが、小田原市と小田急電鉄。箱根の山々を背後に抱える小田原市の自然豊かなフィールドで、若手ハンターが狩猟のスキルを磨き、鳥獣被害に悩む農林業者をマッチングするサービス『ハンターバンク』だ。
首都圏と小田原市を結ぶ小田急電鉄は、沿線の地域課題の解決策としてこれを事業化。2020年より小田原市の協力のもと、狩猟経験のない若年層ハンター計43名によるイノシシ捕獲を通じた実証を行い、2021年11月よりサービスが本格スタート。現在、「わな猟免許」を取得した初心者や若手ハンターに向けた無料オンライン説明会を行っている。
若者や初心者ハンターの
“ペーパーハンター化”を防ぐ
わな猟などの狩猟免許取得は、40代以下の若者を中心にここ近年、増加傾向にある。しかし免許を持っていても活動の場が得られず、“ペーパーハンター”化してしまうケースが多い。「狩猟する場所がない」「狩猟をする仲間がいない」「道具などの初期費用がかかる」「技を教えてくれる人がいない」「仕事で見回りができない」などの理由から、免許取得後にリタイヤしてしまうためだ。
ハンターバンクは、こうした初心者や若手ハンターの悩みを解決。農林業者とのマッチングをはじめ、狩猟に必要な道具のレンタルや有害鳥獣駆除捕獲の許可申請の代行、ベテラン狩猟者等によるサポートなどを有料で提供する。
ハンターが負担する費用は、月額基本料金税込1,500円(1人あたり)+月額プラン料金20,000円もしくは30,000円(いずれも税込)の2つのプランから選べる。わな猟免許の保有者が1人でもいればグループの利用も可能だ。例えば、30,000円プランを3人で管理する場合は、基本料金込みで1人あたり月額11,500円とお手頃に利用できる。
獣害被害に貢献する
ハンターをサポート
ハンターバンクのミッションは、より多くの人が狩猟を始めやすい環境をつくり、ペーパーハンターの成長と狩猟人口の増加を促進し、鳥獣被害問題の解決につなげていくこと。この取り組みを通じて獣害対策の新たなモデルを確立し、全国各地への展開を目指している。今後、技を磨いた若い世代のハンターが活躍していくことで、未来の日本の森や林業も明るい方向へ変わっていくはずだ。
文/後藤あや子