進化が止まらない! 世界が認めた検知アプリ「Timbeter」
2020/02/25
電子国家、エストニア発の素材検知アプリ「Timbeter」。世界中で二万人を超えるユーザーが利用する、まさに世界水準のアプリケーションだ。その魅力はどこにあるのか。詳しく紐解いていこう。
全世界で2万人のユーザーを誇る
素材検知アプリ
フィンランド湾に面したバルト三国のひとつエストニア。九州ほどの面積に約132万人が暮らす小さな国だが,IT分野での先進的な取り組みが高く評価され「電子国家」として世界の注目を集めている。そんなエストニア発の素材検知アプリがTimbeterだ。2015年の公式リリースからまたたくまにユーザー数を伸ばし、全世界で2万人を超える林業従事者が利用するアプリにまで成長した。対応言語は12言語。もちろん日本語にも対応している。
豊富な機能と活用方法で
生産から運送、製材までカバー
ほかの素材検知アプリと比較したときに、目を引くのが機能のバリエーションだろう。基本操作は、はい積みされた丸太を指標となる検尺とともにスマートフォンで撮影するだけだが、そこから各画像に場所・日時・樹種・数量はもちろん、木材の品質や欠損木などの情報も入力することができる。撮影画面から、特定の径級の丸太のみを選択してマーキングできるため、どのような材が生産されているのかを現場で直感的に把握できるのも魅力的だ。トラックに積まれた材の容積を計測できる「トラック測定機能」もユニーク。山土場が矮小で撮影が困難な場合や、検知者が現場まで出向けない場合など、さまざまなケースでより柔軟な検知が可能になる。
出典:Timbeter HPより
素材生産業者が単独で使用しても十分に効果を発揮するTimbeterだが、運送会社や製材所など、川上から川下のユーザーが一貫して使用することでさらにその力が発揮される。検知の測定データや画像などを、簡単な操作でユーザー同士が即座に共有できるからだ。サプライチェーン全体で迅速に材積を共有することで、流通のなかで生じるロスを最小限に抑えることができる。また、材積だけではなく、木材の産出場所を地図上にタグ付けし、川上と川下で共有できることも大きなメリットだ。トレーサービリティを高めることは、木材の地産地消の流れを加速させることにもつながるだろう。
日本の現場に合わせた
アップデートにも期待
日本では未だ導入実績の少ないTimbeterだが、その可能性は非常に大きい。何よりも目を見張るのはその進化の速さだ。公式リリースからの5年間で、幾度となく機能の追加を繰り返している。今後日本でのユーザーが増えれば、日本の林業の現場にあわせたアップデートも期待できる。検知アプリの枠を超え、日本の林業を大きく変えるプラットフォームに成長する可能性もあるだろう。Timbeterの成長に、今後も注目だ。
DATA
TEXT:松田敦