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高性能林業機械の修繕費を抑えるために重要なポイントは? 最新論文を解説

高性能林業機械の修繕費に着目し、機械経費を抑えるための各事業体の取り組みをまとめた論文が日本森林学会誌に掲載された。本記事ではその内容を紹介しながら、修繕費抑制のポイントを解説する。

修繕費抑制のために、
重要なのは「機械稼働寿命」

高性能林業機械は、今や素材生産に欠かせない存在になっている。その一方で、機械経費による伐出コストの増加は多くの事業体にとって頭の痛い問題だ。
 
そこで今回は、日本森林学会誌に掲載された尾分達也氏・佐藤宣子氏の論文から、機械経費のうち「修繕費」を抑えるためのポイントを紹介する。

(高性能林業機械の修繕及び機械更新の事業体戦略 日本森林学会誌/102 巻 (2020) 2 号)

 
結論から言うと、保守・修繕費を抑えるには高性能林業機械の「機械稼働寿命」をいかに伸ばすかが重要になる。機械稼働寿命とは「原価が売上を上回るようになる機械の稼働時間」のことで、単純な使用年数とは異なるので注意してほしい。ではどのように機械稼働寿命を伸ばすかというと、その答えは「機械の丁寧な扱いが必要」ということに尽きるようだ。
 
機械を丁寧に扱う姿勢を作業員に根づかせるには、調査を実施した事業体のひとつである「B社」の施策が参考になりそうだ。B社では「機械が少しでも傷つけば塗装に出し、機械を綺麗に保つことで作業員に丁寧な作業を意識づけていた」という。
 
さらに尾分氏は過去の論文(日水・鈴木 2005)を参照しながら、修繕費の多くは導入初期に急増し、その後減少することから、作業員の習熟度不足が、機械の破損を招くということを指摘。今回の調査でも、「A社」は、オペレーターの習熟度にあわせて、搭乗機械を選定するという施策を実施していた。これも修繕費を引き下げるために有効な一手になるだろう。



また機械の修繕が発生した場合には、「修繕費用を抑えることが重要」とも指摘する。その方法のひとつとして、「自社で修繕を行うこと」を挙げている。実際に自社での修繕を行っている「B社」「G社」は、ほかの事業体に比べて、修繕費の負担を感じていないことがわかった。高性能林業機械の導入にあたっては、作業員のスキルを事前に確認しておくことも重要だろう。
 
とはいえ、はじめて高性能林業機械を導入する事業体では、習熟度の高いオペレーターも、修繕のスキルを持った作業員もいないことが多いはずだ。そこで推奨されているのが「リース契約」だ。「効率的に保険を利用でき、初期費用を抑えながら経費を平準化できる」とその効果を指摘する。
 
以上、簡単ではあるが尾分・佐藤両氏の論文を整理した。総合学術電子ジャーナルサイト「株式会社J-STAGE」で原文を全文閲覧できるので、興味を持たれた方はぜひそちらもチェックしていただきたい。
 

文献情報

尾分達也・佐藤宣子(2020)高性能林業機械の修繕および機械更新の事業体戦略.日本森林学会誌 102(2): 120-126

参考文献

日水和久・鈴木由和(2005)高性能林業機械の保守・修理費について.新潟県森林研究所研究報告 46: 85-88


文:松田敦

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