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高品質な木質バイオマス原料を製造!林業機械見学会レポート(後編)

那須南森林組合が伐採して集めた木材は、近隣の製材工場に送られる。那須南森林組合・県北木材協同組合・株式会社トーセン・緑産株式会社共催の林業機械見学レポートの後編は、そこでどのように活用されるのかをお届けしよう。

木材や製材工程で出る端材を
地元で消費する仕組みづくり

前回のレポートでは、那須南森林組合が管理する現場における3線式タワーヤーダーの『ワンダーファルコン』と自走式のチッパー『トラックハッカーMEGA』についてお伝えした。今回は、そこで伐採された木材(とチップ)の、その後である。それらはすぐ近くの県北木材協同組合等製材工場・株式会社那珂川バイオマスのバイオマス発電施設に集められていた。
 
那須南部は自然豊かな地域であるが、他の郊外地域と同様に過疎化対策や地域おこしが課題となっている。そんな同地域で展開されているのが、株式会社トーセンの提唱する「エネルフォーレ50」である。この製材工場と木質バイオマス発電所を中心とした半径50kmの経済圏構想は、地域の森林資源を余すことなく活用し、森林産業で人も町も山も元気にして行こう、という取り組みだ。山から切り出した木材は近隣の製材所で製材される。あるいは木質バイオマス燃料に姿を変える。
 
製材工程で出る端材なども木質バイオマス燃料となる。この木質バイオマス燃料は、製材所に隣接する木質バイオマス発電所で使用され電気や熱を生み出す。木質バイオマス燃料の7割が地元で消費されることで、地域に雇用を生み出し、人を元気にする、循環型社会を目指しているのだ。

工場等が建てられている敷地は、少子化のため閉校となった学校である。校舎は事務所等として転用し、校庭のあった場所に製材工場と木質バイオマス製造場を置いている。無駄がなく賢い空き地利用である。


 

木質バイオマス燃料を
無駄なく高効率に生み出す

ここで見学したのはバイオマスプロセッサー『アクスター』による大容量燃料チップ製造作業、高精度選別機『マルチスターS3』によるバークの燃料利用のための前処理作業、電動定置式『ウッドハッカーMEGA561』による発電用燃料製造の様子の3件。いずれの機械も、緑産が輸入販売する欧州の製品である。
 
『アクスター』シリーズは、広範な木質資源に対応する最新鋭のバイオマスプロセッサー。先端ツールを簡単に組み換え可能なため1台で素材と目的に最適な加工ができる。ヒューズ機構を備えた固定ナイフのチッパーモードではバイオマス燃料チップの安定生産に、また可動式ハンマーのシュレッダーモードではより混入物の多い林地残材の破砕に最適なパフォーマンスを発揮する。

実際にお見せいただいたのは、日本向けに高機能とハイパワーをコンパクトボディにまとめた『アクスター 6010』(590馬力級)。日本ユーザーのために、全幅・全高・重量等を日本の公道で牽引しやすいジャストサイズに設計・製造された日本向けモデルである。
 
装備されるヘッドは独立して装着され部分毎に交換可能。保守性を高めるとともに消耗品コストも低減した。装着されたスクリーンとドラム下部のフリクションフロアで長尺物の製品への混入を低減、消耗品交換等のメンテナンス時には大きく開放することで作業性を大幅に改善している。

『アクスター 6010』の処理能力は材にもよるが最大で300㎥/hだ。見学している15分弱の間でトラックの荷台(50㎥)を一杯にしてしまった。驚いたことに、丸太とともにバークのチップ化をしていた。破砕能力の高さを示している。

その隣で作業していたのが大容量高精度選別機『マルチスターS3』。バイオマス燃料において、高精度スクリーンによるサイズ選別を行い、土砂等の混入異物を除去することは、燃焼炉の損傷を低減するため、高品質かつ高付加価値の製品にする。
 
特許取得の清掃機構「クリンスター」を装備したスタースクリーンにより、幅広い性状の素材に対して絡みや詰まりを回避して摩耗を抑え、高いふるい分けを維持する。見学時には、バークを細粒・中粒・粗粒、の三つに分別していた。砂混じりの細粒を取り除き、中粒はそのまま燃料に利用、粗粒のみをアクスターで破砕し燃料サイズに調整する。マルチスターで事前に選別する工程を加えることにより、破砕機の消耗を抑えトータルコストが低減するというわけだ。

最後に見学したのは電動定置式『ウッドハッカーMEGA561』。本機は前編でご紹介した『トラックハッカー』の兄弟に当たる木質チップ製造機である。導入から5年が経過しているが、稼働率97%、345日連続運転中であるという。

見学会の後には、セミナーが開催された。タワーヤーダー『ファルコン』シリーズの製造会社であるMM Forsttechnik社からヨハネス・ロシェック氏を招聘。「タワーヤーダー集材方式における経済性について」と題した講演が行われた。オーストリアでは国策として林道を整備することでタワーヤーダーの積極的な導入が行われ、その結果、労働効率が高まっていることが報告された。

また那須南森林組合からは深澤等代表理事組合長を招聘し「タワーヤーダー導入にあたって」と題した講演が、最後はトーセンの東泉清寿代表取締役による「製材工場におけるエネルギー利用」と題した講演が行われた。各講演後の質疑応答においては、この場でしか聞けない現場に即した質問も飛び出すなど活発な情報交換が行われ、見学した機械に対する理解がより一層深まった。

ここで紹介したバイオマス発電所と製材工場では、視察・見学を受付けている。実際に訪れることで、有意義な情報を得ることができるはずだ。
 

問い合わせ

視察・見学について山林舎
製品について緑産株式会社


文:川島礼二郎

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