“林業の町”とコラボの防護ズボンが誕生! 地域の気候に最適な「軽・快・涼」を追求
2025/03/31

安全性と快適性を兼ね備えた地域の気候に合った防護パンツを履きたい……。「林業の町」として知られる鳥取県智頭町の林業者たちと、国内トップメーカーのトーヨがコラボした新たな防護ズボンがこの春誕生した。キーワードは「動きやすさ&涼しさ」だ。
1.地域に合ったウェアを! まちぐるみで開発に着手
2.革新的なデザインを 涼しさ、軽さ、強度を両立
3.CLOSE UP トーヨ×智頭町 チェーンソー防護服
4.Gold Ninja 夏用・快脚 防護ズボン
地域に合ったウェアを!
町ぐるみで開発に着手
「一年中、防護ズボンを履いているので、夏場のズボンの中の『汗びちゃ』は仕方ないと受け入れていました。でもチェーンソー切断抵抗性試験装置を保有するトーヨさんの工場を見学する機会があり、そこで快適性を犠牲にせずに安全性を追求する姿勢を知ったんです。それでコラボによる防護ズボン開発のお声掛けをしました」。智頭町で自伐型林業を営む橋本登志郎さんは経緯を振り返る。
「自伐型林業のメッカ」として知られる智頭町。同町は林業を含めた町の産業振興に住民の声を生かすための組織「百人委員会」を設置。その林業部会の部会長を務める橋本さんが、自身の経験や町内の林業仲間の要望を踏まえて同委員会に提案したのが「地域に合ったオリジナル防護ズボンの開発」だった。
生地開発から縫製、強度試験まで自社で一貫して手掛ける同社の取り組みを知った橋本さんは、さっそく智頭町とのコラボによる防護ズボン開発を打診。
「自社の力を発揮することで、地域の林業を盛り上げられるかもしれない」という渡邊学社長のトップ判断で「智頭モデルのオリジナル防護ズボン開発」というユニークな試みが動き出した。
革新的なデザインを
涼しさ、軽さ、強度を両立
プロジェクトには地元の県立智頭農林高校で林業を学ぶ生徒も加わり、デザインや機能に対するさまざまな提案が挙げられた。
その一つが「左右の前ポケットとお尻部分のポケットを省き、代わりに太もも部分にマチ付きのカーゴポケットを付ける」デザイン。
橋本さんは「スマホなどは屈んだ時にゴロゴロするので前後のポケットには通常入れません。太もも部分のカーゴポケットが作業中は使いやすい。ひざ部分の立体縫製や補強を求める声も多く、採用してもらいました」と話す。
防護ズボンの要となる防護材にはトーヨが特許取得し、市販モデルにも採用している「JIS規格class1適合」の素材を使用。
「縦糸と横糸の間に隙間を作り、軽量性と通気性を両立させた」(渡邊社長)という自信作だ。
ほかにも「お尻と裾以外の部分の裏地にメッシュ生地を配して通気性を確保」「ベルトループの増設」「裾部分の生地に伸縮性を持たせてハイカットのチェーンソーブーツ着用時のフィット感を向上」など、智頭町側からの要望とトーヨ側のアドバイスによる機能が随所に盛り込まれた。
製品を着用した橋本さんは「軽くて耐久性もあり、履き心地がサラサラ。これまでの防護ズボンで諦めていた夏場の快適性を実感できそう」と評価する。
「今回の共同開発でモノづくりの原点にあらためて気付かされました。ユーザーの皆様の希望に沿った商品づくりにこれからも知見や技術を反映させていきます」と渡邊社長。日本の気候に合った「快脚技術」を追求する同社の林業用アイテムは今後も深化しそうだ。
CLOSE UP
トーヨ×智頭町 チェーンソー防護服
「お尻と裾以外の全面にメッシュ裏地を採用した涼しさ追求タイプ」と「通気性の高い素材を使用し、左右の太ももの後ろ部分にベンチレーションを配したタイプ」の2種類を開発。
DATA
Gold Ninja 夏用・快脚 防護ズボン
「智頭モデル」の開発で蓄積した機能やデザインを反映させた防護ズボン。4月に発売予定。
問い合わせ
株式会社トーヨ
TEL:0898-72-5444
文:渕上健太
FOREST JOURNAL vol.23(2025年春号)より転載
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