革新的テクノロジーで森林の課題を解決する専門家集団が新たに手がける8ツールとは?
2022/09/09
100年に一度の渋谷再生計画から樹齢500年もの杉の森保全事業まで。幅広く国内インフラを支え、多彩で高い技術を有する専門家集団が開発する持続可能な森林経営とグリーンインフラを実現する8つの革新的ツールとは?
人と自然がより関わる豊かな環境へ
価値観のパラダイムシフト
2022年、日本は成熟社会を迎え、経済成長一辺倒ではなく、緑豊かな環境のもとで健康的に暮らす社会を求める価値観のパラダイムシフトが起きている。そのシフトこそ「グリーンインフラ」といわれるものだ。人々は昔以上に自然とよりよく関わる「緑」と「水」の豊かな生活空間を求めて始めている。
日本は国土の3分の2を森林が占める一方で、豊かな森を多面的に使いこせていない課題を抱えているのも事実。人口減少や少子高齢化に伴い土地利用の変化も起こり、気候変動に伴う災害リスクの増大といった課題への対応が急務となっている。
大きな転換期を迎えるシン・日本に貢献しているのが、森林GIS分野の開発で草分け的存在のパシフィックコンサルタンツである。革新的テクノロジーの力で、多様な社会課題を解決する「社会インフラサービス」を展開し、さらには日本の林業を活性化すべく、高精度な情報をデジタルソリューションとして提供する。
パシフィックコンサルタンツの歩み ~日本の社会インフラに大きく貢献~
パシフィックコンサルタンツの創立は1951年。
戦後の日本の高度成長期の社会インフラサービスを計画+調査+設計+管理からプロデュースしてきた。
1956年の丸ノ内線調査設計。
1958年の東京-神戸を結ぶ大動脈「名神高速道路」の高架橋比較設計。
1971年の世界一美しいロケット地と称された種子島宇宙センター大崎射場設計。
1976年には、関越自動車道トンネル詳細設計。1995年、阪神高速道路震災復旧設計。
そして現在進行中が、100年に一度ともいわれる渋谷再生プロジェクト。
2010年から始まったのは、大本山永平寺の樹齢500年を超える唯一無二の五代杉の保全・継承事業。2022年からその森保全事業の3rd シーズンがいよいよ始まった。
大本山永平寺の森の保全事業の様子
スマート林業に必要な情報共有基盤
「地域版森林クラウド」を提供
パシフィックコンサルタンツは「森林は重要な社会インフラの1つ」としてとらえ、以下の5つの理由から、森林の活用と適切な維持管理の必要性を考える。その実現のために、デジタルを活用した森林・林業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。
例えば、準天頂衛星を含めたGNSS(全球測位衛星システム)やGIS(地理情報システム)にもとづく位置関連情報(G空間情報)、ICT(情報通信技術)を開発している。また、行政情報(森林簿や森林計画図)への反映や整合性のチェックなどに活用する仕組みを構築している。
森林活用と適切な維持管理が必要な5つの理由
1:林業を成長産業化
川上〜川下の情報を共有して効率化・高付加価値化を目指すサプライチェーンの構築を支援
2:生物多様性を確保
リモートセンシング技術を活用した環境保全管理
3:観光や景観に親しめるよう森林サービス産業として新たな価値を創出
ヘルスツーリズム、ビュースポットの拡充
4:森を保安し、災害を防止
保安林の管理、水源涵養、土砂崩れ等の防止のための森林計画を提案
5:持続可能な開発目標(SDGs)カーボンニュートラルの実現へ
森林の価値を見極めるための二酸化炭素の吸収源としての森林の役割
高精度な情報整備で得られる7つのメリットとは?
① 需要にもとづく木材の安定供給(品質、数量)と適正な価格による山元への還元
② 効率的な森林経営・森林管理による生産性の向上と低コスト化
③ 木材の高付加価値化
④ 新規需要の開発
⑤ 土地所有者不明化の課題解決
⑥ 人材育成の推進
⑦ オープンソースソフトウェアで構成された情報を地域の林業関係者へ無料提供
パシフィックコンサルタンツが提供する
森林・林業DXを実現する8つのツール
① 現地調査アプリの拡張・開発
行政の森林データを可視化
↓
情報を見ながら現地を調査
↓
GIS(地理情報システム)の森林データと現地状況の差異を現地で更新
オフラインでも背景画像等を参照しながら使用でき、通信状態が戻った後に、更新データをオンライン上にアップロード。このアプリによって現地調査の効率化が図れる。
② 点群データ解析アプリの開発
株式会社竹谷商事と連携し、航空LiDAR、ドローンおよび歩行型地上レーザーによる森林解析の技術提案。上空・地上での撮影、計測を組み合わせ、精度が高く効率的な計測を目指す。
機能一例:森林内をスキャンして森林3Dマップ化し、立木1本1本の位置図や材積を算出。
解析できるデータは、点群データ、直径、樹高、材積、立木本数、位置図など。
これまで経験に基づく勘、紙ベースによる林業から、情報に基づくスマート林業へ。伐採計画や森林の整備計画が高精度になる。
点群データを処理し、単木を抽出した俯瞰イメージ図
③ 検証:高精度な位置情報取得可否
林内では位置情報の取得が難しく、精度向上という課題があり、GPSでも実際10〜20mのズレが生じる。準天頂衛星「みちびき」対応の受信機を使用することで、2〜3mの誤差で位置情報が取れるようになる。将来的には「みちびき」対応の外部アンテナにより補正した情報をモバイルのアプリと繋げ、スマートフォンやタブレットのGNSS(全球測位衛星システム)として利用可能に。
④ ICT林業機械からの情報活用
現在、自治体が仮導入し、その効果を実証中。機械の導入から、ICT林業機械から取得した情報を即時に読み込み、取り込んだデータの検証まで、一連のコンサルティングを行う。
⑤ 木材流通アプリの開発
ESRI(エスリ)社のアプリを森林用に開発。運搬状況が見える化され、林道の通行状況も把握でき、様々な用途に応用可能に。木材トレーサビリティーとしても活用。
⑥ ウェアラブルツールの開発
森の映像や画像を「見る」だけでなく、VRによってバーチャルで森を「体験」。林業研修など今後活躍の場が広がる可能性を秘める。
全天球カメラを使ったVRのイメージ画像
⑦ 川上〜川下を繋ぐシステム開発
①〜⑥まで取得した情報をクラウドシステムに簡易的に取り込むツール「スマート林業のクラウドシステム」を開発中。情報の可視化や情報の関係性の把握、情報の統合と分析が素早くでき、業務効率化によるコスト削減や最適な意思決定、コミュニケーションの加速化が期待される。
⑧ 「森林の価値」を見極める
森林価値を可視化
UI/UXに配慮したツール『Forest Assessment Explorer(フォレスト・アセスメント・エクスプローラー)』を開発中。これは3つの観点から森林の価値を可視化する試みで、生物多様性、カーボンニュートラル、伐採・搬出可能な木材資源という3種類のマップを、1つのマップとして表現する。ある森林を、SDGsの取り組みのために活用するか、木材資源を育てるか、など森林の方針を決定・共有するための一次情報となる。
ESRI社ダッシュボードアプリにより航空レーザで取得した樹頂点ポイントの集計表示も見やすさ、使い勝手に配慮したもの。
価値を数値化する
伐採業者のコスト計算や施業提案のための利益算出などの伐採収益算定、作業道開設に向けてのルート提案からコスト算出のシュミレーションなど、林業現場で必要な数値を出し、価値を可視化する。
高精度の情報にもとづく林業の仕組みづくり=スマート林業が構築されると、産業として儲かるしくみが確立し、地域に貢献できる。さらにSDGs(持続可能な開発目標)を森林経営へとつなげるのが、パシフィックコンサルタンツの森林・林業DXを実現する8つのツールだ。現在、開発中のツールの実装も、間もなく始まろうとしている。
問い合わせ
パシフィックコンサルタンツ株式会社
TEL:03-6777-3001(大代表)
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●次世代森林産業展《FORESTRISE2022》に出展!
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小間番号:F-28
取材・文/脇谷美佳子
Sponsored by パシフィックコンサルタンツ株式会社