『豊田森林組合流』施業データ管理術とは? GNSS技術を通じて集約化に挑む
2025/01/09
森林調査のDX化が進む一方、森林データ管理ソフトの機能を十分に生かし切れている事業体は少ない。そこで森林GISシステム搭載ソフト「Assist8」を導入した愛知県の豊田森林組合に、集約化施業推進に向けた取り組みを聞いた。
広大な人工林所有で
情報の一元管理に課題
豊田森林組合は、豊田市と周辺6町村が合併した2005年、森林組合も広域合併して誕生。市域の7割、63,000ヘクタールの森林の約60%が人工林。この広大な人工林の管理が地域の大きな課題となった。
「合併で当組合の組合員数は8500人を超え、集約化を進めるにも小面積の森林所有者が多く、エクセルなどのデータと森林基本計画図を照らし合わせて測量図を管理する業務方法には行き詰まりがあり、各担当職員の記憶の中でしか山を把握できていませんでした」と同組合の藤澤係長は説明する。
豊田森林組合は森林GIS「Assist7」を2018年に導入。
一方、豊田市が進める森づくり会議方式では所有者や山林ごとのプロット情報など非常に細かい記載項目があり、Assist7とは互換していない項目が多数あった。
カスタマイズで業務を削減
集約化業務の約3~5割効率化
同組合はジツタと共同で「Assist7」をカスタマイズ。プロット情報や林床の状態、樹冠や遠景の写真、担当者の所感や保安対象物の情報などを記録できるようにした。
「現在は最新ソフト(Assist8)をカスタマイズし、豊田市の集約化事業や愛知県の伐採工事に必要な契約書なども図面と連動して作成できます。施業内容が補助要件に合致したポリゴンを自動で色分け表示させ、帳票作成の省力化や記載ミスを防止しています」と同組合の後藤主任GIS担当は話す。
同組合の集約化ではおおむね合併前の市町村管内ごとに、地区担当職員と測量などの現場業務とGISの入力・修正などを行う技能職員の2名、計3人を1チームとして配置し、測量・調査アプリのARUQや高性能GNSS受信機Geodeを活用しながら業務を担当している。
団地化施業の流れ
藤澤さんは「以前は担当地区出身職員の経験や人脈頼りでしたが、地区外出身の職員も多くなった今、森林の継続管理にはデータの一元化が重要で、それには業務に適した機器やソフトが欠かせません。微地形図の活用を含めて、現在の体制は以前に比べ集約化業務の3~5割効率化した印象です」と話す。日報管理ソフト「KIROQ」の導入も検討中だ。
豊田森林組合が実践する
Assist8 カスタム!
豊田森林組合向けに従来の属性管理から大幅に仕様を変更。施業提案書である「森のカルテ」に記載する詳細な森林の情報(各団地の情報・森林の管理者・森林の現況)を追加し、各事業に応じた書類を自動で作成する機能を追加した。
森のカルテ入力画面(必要な情報を詳細に管理)
また、森林現況の記載内容に応じてポリゴンを自動色分けすることでデータ入力のミスを大幅に防げるようにした。
Assist8メイン画面(森のカルテ入力値から団地データを自動で色分け)
問い合わせ
株式会社ジツタ
TEL:03-3553-8583
MAIL:products@jitsuta.co.jp
文:渕上健太
写真:山本典義
FOREST JOURNAL vol.22(2024年冬号)より転載
Sponsored by 株式会社ジツタ