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馬と暮らし、働く幸せを求めて──西埜さんが手応え感じた「馬搬の市場可能性」とは?

30歳で移住し馬搬家に転職、独立して3年目を迎えた西埜さん。アナログ手段「馬搬」を選んだ理由は、持続可能性だけではない。海外で出会った「馬との理想の暮らし」を追求する彼に学ぶ、馬搬の優位性とは?

 

なにか新しい林業の姿を
追い求めて

かつて、林業に欠かせない技術のひとつだった馬搬。しかし、機械化が進むのと同時に馬搬技術は衰退の一途を辿った。

一方、近年では、その優位性において、改めて再注目の兆しもある。とはいっても、馬搬を生業として暮らす人は、未だごく僅かだ。

そんな時代において、北海道厚真町に拠点を置く西埜馬搬の西埜さんは、自分のキャリアを「運が良かった」と振り返る。



岩手大学森林学部出身の西埜さんだが、卒業後は自然学校に勤めるなど、寄り道を経て、林業の世界へ。北海道の林業会社に勤め、森林整備業務に勤しみつつも、「なにか新しい林業の姿を追い求めていた」というなか、出会ったのが馬搬だったという。

「かつて自然学校の仕事でお世話になった人に、大沼地域で自然学校と観光牧場をつくるから、馬搬をやってみない? と誘われたんです。海外ではホースロギングという林業があると知り、ネットで動画を見るとすごく心惹かれて。

早速、遠野で馬搬を実践している岩間さんに会いに行ったんです。エンジン音もしない中、森の中に馬がいて、木を引っ張っている景色がすごくきれいで。それまでは当たり前のように重機で丸太を運んでいたけれど、こんな形の林業があるんだ、と」。

そして、30歳で移住して転職。職場の牧場は、森でのホーストレッキング、馬を使ったアニマルセラピーなどの触れあい体験にくわえ、馬車や馬搬、馬耕など“働く馬”を育てたいというユニークな構想を持っていた。

西埜さんは、牧場内の森林整備と管理を主な業務としながら、馬の飼育やトレーニングに携わることに。

国内外さまざまな種類の馬の飼育を経験し、昭和50年代まで馬搬を生業にしていたという師匠・(故)上村広美氏に教えを請うなど、牧場で働きながら、馬搬に関する技術や知識を着実に習得したという。

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