トップガンのマーベリックを、林業のベテラン上司に置き換えてみた。理想の指導者とは
2022/11/16
林業において、ベテラン技術者が目指すべき指導者とはどのようなものか。林業との共通点も多いという映画「トップガン」に"リーダー像"を学ぶ!? 経営支援のプロ・楢崎達也の連載コラム「次世代林業Lab」。
トップガンのマーベリックは
ベテラン技術者のあるべき姿か?
僕は戦闘機好きです。最近では、パソコンのフライトシミュレーターのF-14で岐阜県上空をぶんぶん飛んでいます。当然、映画「トップガン」は3回観に行き、涙しています。ということで(どういうことだ?)今回はこの映画に学びます(笑)。
トム・クルーズ扮する主人公のマーベリックは、今回、NAVYの研修所「TOP GUN」で教官を務めることになってしまいます。彼は、生徒の命がかかったミッションを成功させるための指導者を務めることになり、だいぶん、悩むはめになります。
楢崎はマーベリックの悩みを次のように分析しました。
① 主人公は感覚的な天才肌で、彼なら何とかこなせる難しい作業のやり方を他人にどうやって伝えることができるか
② 1匹狼で自分のことしか考えずに生きてきた中で、他人を成功させる(事故なく)というミッションをどのように担うのか
③ プライドも高い優秀な大人のチームワークをどのように構築するのか
④ ミッションの中で生徒が死ぬのを「やむなし」と思っている組織の上司をどう説得するのか
主人公の現場は、生きるか死ぬかの空中戦というとんでもない現場ですが、僕らが置かれている林業業界も何となく似ていませんか?(ドンパチはしませんが、バリバリバリ~とはします)林業現場も空中戦と同じように命に関わります。状況は違っても共通事項ですね。
映画の中では研修所には優秀なやつばかり集まっているので、覚えが早かった。ですが、覚えの悪い楢崎も含めて、一般人はそうはいかないですね。
昔ながらの人間マーベリックは「俺は一匹狼で指導者には向いてない!」と言い張ります。なんか、これって組織内でベテラン職員がよく言っている言葉じゃないですか! アイスマンに「お前ならやれるはず!」とハッパをかけられ、「若者の命を守れるのは自分しかいない」と奮起していましたね。
が、映画では指導においてどのような工夫をしたのか、ビーチで上半身裸アメフトをした(笑)ぐらいしか表現されませんでした(この方法はアメリカではチームワーク研修の常套手段)。
僕は、上司が部下を指導するのは当たり前(=上司の職務として当たり前)だとしても、難しいのは「指導の仕方」「説明の仕方」だと思っています。説明の仕方の工夫については、楢崎も研修用動画を作ったりして試行錯誤、検討しています。
みなさんは、中堅・新人社員にはどのように指導しますか? 職場にも、林業大学校等を卒業した新しい価値観を持ったZ世代の若者もたくさんいますよね。
事業体での上司部下の業務上の意思疎通の現状
※某県の林業事業体へのアンケート、2022
楢崎は、映画を3回も観に行っておきながら、マーベリックのキャリアパスは全く良くないと考えています。彼ほどの技量がある人材こそ指導者になり、良き後輩を育成する側に回るべきだと思います。
技量がある人がいつまでも現場最前線で個人プレーをしてしまうと、組織的な発展が見込めないどころか、職場での一匹狼(=マーベリック)になりかねませんよね。アイスマンには「ガツン!」とマーベリックにアドバイスして欲しかったですね。
みなさんは、どう感じましたか? それでは、僕は今晩もF-14で管制塔かすめフライト!
PROFILE
FOREST MEDIA WORKS Inc.
CEO
楢崎達也
カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2022プロデューサー。