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林業の喜びって何だろう? 再確認してみませんか──若手に面白みが伝わる職場へ

「人材量」が決定的に不足している林業。経営者・上司・先輩の皆さんは、林業業務の喜びや面白みを若手に伝えられているだろうか。経営支援のプロ・楢崎達也はそう問いかける。

林業事業体の経営者と従業員が
林業を形作っている

最近、せっかく就職した林業事業体を辞めてしまう人が増えています。どんな業界でも会社を変わることや転職することは当たり前なので、「珍しい」とは思いませんが、全国に林業大学校等が設立された背景にあるように、「人材量」が決定的に不足しているのは事実です。

どうして我々は数ある職業の中で「林業」という業界を選んだのでしょうか。本誌第4号で「私たちが知らない林業という職業の魅力」と題して、私も含めて林業を選択した理由について書きましたが、林業には他の業種にはない魅力があります。

林業大学校等に進学した学生さんは、我々がそうであるように、その後の人生の大半を林業業界で過ごすこととなります。そのこともあり、機会があれば、林業実務のテクニックだけでなく、僕は林業という職種(ビジネスモデル、性質)をよく理解してもらいたいと思って話をさせていただくことが多いです。

職場で、これを読んでおられる経営者・上司・先輩の皆さんは、林業業務の喜びや面白みを若手に伝えられているでしょうか。言い換えると、上司や先輩方は、林業の面白みを理解し、感じながら業務をされているのでしょうか。

「楢崎さんね、日々の目の前の業務に追われて、業務の喜びや面白みなんて感じないですよ。こなすだけですよ」と言われます。「確かにね〜」と説得されてしまいますが(笑)、それだけの人生では寂しいじゃないですか。



「林業は大変な仕事だ!」というメッセージあるいはオーラを経営者・上司が、あるいは業界が発信してしまうと、林業業界に人が入ってこないし、入った人も辞めることにつながると思います。経営者・上司・先輩は思い入れを持って業務を実施する姿勢を若手に見せてもらいたいです。

国土保全のために森林管理は必要で、森林管理の実作業をするのは事業体で、事業体を構成するのは経営者と従業員で、経営者と従業員を動かすのは「幸せ」になろうとする動機だと思います。国土の7割を占める森林が日本の林業を作っているのではなく、林業事業体の経営者と従業員による活動が「林業」を生み出しています。

今から林業に入ってくる若手には林業大学校等の教育を通じて林業の喜びを知ってもらいたいと思います。

現場・屋内で働く事業体の方、林業関連で働く方々みなさん、時々、林業に携わることにより得られる「幸せ」を再確認してみませんか?

PROFILE

FOREST MEDIA WORKS Inc. CEO

楢崎達也

カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2022 プロデューサー。




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