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まるでアート!? 人々が森に夢中になる仕掛けとは?「森のウエディング」を成功させた2人の壮大な計画

かつてはブランド木材「山武杉」の産地として、全国的に知られていた千葉県山武市。 そこでいま、目新しいアプローチをとおし林業と地域を盛り上げている空師の2人がいる。

人々を森に呼び込む
『仕掛け』づくりを


WO-un(ヲ・ウン):栗原幸利さんと佐瀬響さんの空師ユニット。千葉県山武市を拠点に活動。現在、手つかずだった森をフィールドとしたイベント「ヤケマルタトオノ」に携わる。 画/OZ-Yamaguchi Keisuke

「なんで?どうして?をやめず、面白いと思えたこと、得意なことの続きに今がありました」。そう語るヲ・ウンの2人が初めて森でイベントを開催したのは、約15年前。共通の趣味だった音楽を山へ持ち込み、数日に渡ってキャンプをすると、沢山の仲間が遊びに来てくれた。それを切欠に「せっかくならステージを組んで」「雨を凌ぐ大きなテントは造れないか」と規模に応じて発想も広がっていった。

「その取り組みが評価され、市主催の体験型音楽祭の企画・運営を行うことに。最終的には、12000人ほどが集うイベントになっていきました」。

次第に山主や様々な縁から仕事としても山林の整備を任されるようになり、彼らにとっては最高のロケーションであった森が、人から見放されつつある負の遺産、という実態を知ることになる。

 

「『仕事もない、地域に魅力が見出せないんじゃ、住まいも結婚式も都市部に流れるよな』なんて話をしていた頃に、地元の友人から「森で結婚式をしたい」とタイミング良く相談を受けたんです」。

12年前の日本はまだアウトドアウェディングの前例は少なかったが、イベントで培った経験を頼りに、ナガラ材(小径間伐材)でテントを組み上げ、デコレーションや料理も工夫を重ね、はじめての森のウェディングは作り上げられた。


森の中で行うアウトドアウェディング。会場環境の整備、空間演出などをWO-unが手掛ける。森林が、大切な日のおもてなしの場として活用されている。

「美味しい空気、力強い木々。立木に巻き付くツルや雑草さえも、お客様をもてなしました。みんながフワッと抱いているだろう『なんか森っていいよね』という観念に、結婚式、お祝い事といったフィルターを重ねることで、その非日常な景色がさらに輝きだすんです。アートの如く人の視点をも変えてしまう『仕掛け』。それはやがて森への関心へとつながっていくのだと思っています」。

それから2人は、年1~2回のペースで「森のウエディング」を手がけてきた。これは問題解決のためにまず必要な「人々が森に触れる『仕掛け』」の一つだという。

大切にされてきた地縁を守ろうとするあまり、身動きの取れなくなってしまった日本の森。合理性の欠けた効率を求め「必要な分だけ」では終われなくなっている私たち。2人が提唱する新しい林業、その根底にあるのは、壮大な「森と地域のつくりなおし」なのだ。

DATA

WO-un(ヲ・ウン)

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