《新米林業家、獣害を考える。》獣害対策ってどんなことするんですか?
2023/06/22
林業に転職して4年目の林業家が生き生きと綴る「新米目線」コラム! 第10弾は「獣害対策」について。獣害は地域によって程度がさまざま。対策もいろいろだけど、もしかして獣害って自分たちの作業が原因……?
僕の獣害・獣害対策体験
伐採したことが原因なのだろうか……
獣害対策ってどういった作業を行うのでしょうか? 僕自身、獣害対策の現場に入ったことがないので、どういう作業があるのかあまり詳しくありません。獣害対策についてはネット記事やSNS等でよく見聞きすることがあるので、柵を立てる、苗にネットを巻く、忌避剤を撒く、狩猟する等の対策があるということは「情報として知っている」という程度です。
ネット上で見聞きした情報の中で、「頑張って植えた木がシカやウサギに食べられたから植え直しになった」というのが印象に残っています。その内容から、苦労や悔しさというのがとても伝わってきて、獣害対策の重要性を強く意識した覚えがあります。
僕自身が獣害対策に携わる機会が少ない理由として「土地柄」というのもあるかもしれません。僕が勤務している会社の作業範囲内では、「シカを見た」という情報は一度も聞いたことがなく、イノシシやサル、クマの情報がほとんどです。生き物の生息地によって、作業の違いがあり獣害対策の優先順位もかわるようです。
僕が実際に体験した現場での話ですが、「クマが家の敷地内の柿の実を食べにくるので、柿の木を切って欲しい」という依頼を受けたことがあります。柿の木にはクマの爪のあとがついていて、「こんなに家のすぐ近くまで来るんだ……」とゾッとしました。
その柿の木がある家の近くには大規模な伐採現場があり、「伐採による影響でクマが山から降りてきたのかもしれない……」と考えると、伐採が主な作業である僕にとっては悩ましい問題です。その大規模な現場の伐採作業に携わったこともあるので、「生き物たちのすみかを邪魔しているのかもしれない。けど、仕事しないと僕たちも生きていけないのよ」と考えを巡らせたこともあります。本当に悩ましい。
ほかに、イノシシの被害対策として柵設置の依頼を受けたことがあります。あるお宅の敷地内の木を切った後、その切った木の枝などを使って、「イノシシが入ってこないように柵を作って欲しい」とのこと。依頼をした施主さんは「イノシシは畑も荒らすし、ダニも連れてくるし、本当に嫌!」とかなりお困りのようでした。獣害対策というと苗木の問題がピックアップされることが多いと思いますが、獣が連れてくる危険な虫も十分に獣害と呼べるのではないでしょうか(僕自身マダニにやられた経験あり)。
獣害対策、詳しくないけど
解決していかなきゃ
実際に仕事で、獣害対策に携わったことがほぼないため、深く理解することが出来ないのが歯がゆく感じています。
林業というのは、その作業内容が多岐にわたるため、一人の作業員がすべての作業に携わるということはほぼ無いと思います。植え付け、下刈り、伐採、搬出、特殊伐採、製材、木工など、それぞれの作業に専門的な知識や技術が必要で、すべての技術を習得することはとても困難です。もちろん不可能ではありませんが。
林業におけるすべての技術を習得することが出来れば、色んな現場にひっぱりだこのスーパープレイヤーになれるでしょう。僕は主に伐採作業や搬出作業、特殊伐採の現場に携わっており、造林・保育作業に携わることはほぼありません。ですが、他の現場ではどういった作業を行っているのだろう?と興味を持つことが大切だと思います。
例えば、「伐採作業後に〇〇を使って、☓☓しておけば獣害対策作業に役に立つかも」のような、違った視点から問題解決の糸口が見つかるかもしれない。時間も労力もかかるけど、作業員全員がスーパープレイヤーを目指すことは大切なことかもしれませんね。
獣害対策は重要な問題である一方、「自分たちが獣害の原因を生み出しているかもしれない」という、現場で実際に感じる悩み。それと同時に自分たちの生活も守っていかなければいけない。解決しないといけない問題は山積みですが、さまざまな視点をもって解決していきたいです。
人と動物が上手に付き合っていくためにも獣害対策がより良いものになっていくことを切に願いつつ、現場の人間が出来ること、考えられることを引き続き、突き詰めていきたいと思います。
それでは、本日もご安全に!!
PROFILE
新米林業家
とてお
とある地方の森林組合に務めていて、林業3年生になったばかりの『林業初心者』。
「新米林業家とておの林業ブログ」にて、林業初心者目線で『林業』についての情報発信をしています。
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