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超緻密! 扱いやすく、高密度・高精度な森林データで迅速&信頼できる森林経営計画を。

無人ヘリによる空からの『森林計測サービス』を導入した島根県雲南市。高密度・高精度のデータは、大幅な人的労力の省力化と効率化に貢献、原木の供給先も年々増加中だ。適切な森林管理を目指す雲南市の取り組みとは。

森林経営管理制度の開始により
多くの自治体が抱える課題とは?

2019年4月、適切に経営管理が行われていない森林を市町村が仲介役となって、森林所有者と林業経営者をつなぐ「森林経営管理制度」がスタートして3年半になる。

この制度には、経営管理されずに放置されていた森林が、経済ベースで活用されることによる地域経済の活性化や、荒廃森林の解消、伐採後の再造林の促進、土砂災害等の発生リスクの軽減、二酸化炭素(CO2)の吸収促進、水源かん養保安といった数々のメリットがある。

森林所有者は、市町村の介在によって、安心して長期的に所有森林を任せられ、意欲と能力のある林業経営者に経営管理を委ねることで、所有森林からの収益が確保できる。

一方の自治体は、森林所有者に「意向調査」を行い、「経営管理権集積計画」等の作成を進めていく。これら林業採算性の適正な判断に重要なのが「正確な森林資源情報の取得」である。

多くのメリットがある反面、多くの自治体が課題を抱えている。

たとえば、森林資源情報を取得して全対象森林調査を実施するためにかかるコストの問題、職員の増員が見込めない状況下で業務対応可能量を大幅に超過する問題、林業従事者と所有者の高齢化の問題など……。

同じような問題を日本全国の自治体が抱える中、『森林計測サービス』をいち早く導入して、人的労力の省力化・効率化によるコスト削減を実現している自治体がある。それが島根県の雲南市だ

 

可視化された森林データの活用
原木増産を実現する島根雲南市

森林率約79%、人工林率が約45%の雲南圏域の原木生産量は約55,300m³。主な用途は製材用、合板用、製紙用のほか発電用などの燃料使用も加わり、原木の供給先が年々増加している。

雲南市役所の林業グループ所属の山本章平さんは、「当圏域の人工林は、スギ林を中心として順次利用期を迎えつつあり、主伐を推進する取り組みを行っています。そのため森林所有者さんが作成する森林経営計画に基づいて、より計画的かつ効率的に木材生産から跡地更新までを実施できる作業システムの確立が必要です」と話す。

雲南市役所農林振興部 林業畜産課 林業グループの山本章平さん

「雲南市では、森林計測サービスを約2年前に導入しました。導入にあたっては、ヤマハ発動機さんのヒアリングがあり、一緒に現地の計測エリアを下見し、計測計画作成・航路設計をいただいたのち、約3ヶ月ほどで計測データが納品されました。その高精度のデータによって、大幅なコスト低減が期待できます。さらに低コスト作業によって、原木増産につながっていきます」(雲南市役所・山本さん)。

島根県雲南市は、出雲の南に位置し、ヤマタノオロチ伝承など神話や伝説が多く残る人口約3万7000人のまちである。森林資源が豊かなこの地で発達したのが日本古来の製鉄法:たたら製鉄である。約1500年前から近年まで行われてきた製鉄法は、古くから環境への影響に配慮し、植林などの森林資源管理を行って、持続的に自然環境と共存してきた産業として世界的にも注目されている。

「雲南市は、循環型林業が軌道に乗りつつあります。森林経営計画の作成において、効率的な路網開設と高性能林業機械を駆使した集約的施業を推進しています。森林計測サービスにより、リモートセンシング技術で森林環境を3次元で把握する高精度の森林データを得ています。導入から間もなく2年経ちますが、その精度の高さや取り扱い易さに日々、助けられています。

高齢化が進む森林所有者と一緒に森林経営計画を話し合う際は、この可視化された高密度の森林データは、パッと見ただけでわかりやすく、所有者の意思決定の迅速化に役立っています」(雲南市役所・山本さん)。
 

 

手作業からレーザー照射へ
木の肥大生長を直接、大量に計測

雲南市の掛合町にある飯石森林組合の事業部長の景山和幸さんは言う。「かつて70人いたこの地域の林業従事者は、現在は40人です。2040年の少子高齢化問題は、雲南市ではすでに目前に迫った喫緊の問題となっています。

飯石森林組合 事業部長みどり推進課長の景山和幸さん

約10人で森林管理を行っていますが、これまで樹木生育状況調査は、木の肥大生長をミリ単位で計測するため、人の手で1本1本、測樹してきました。

この森林計測サービスでは、超高密度点群を取得して、幹をレーザー照射によって直接計測するので、早くて正確です。幹のほか地表面から立木位置まで把握できるため、その精密なデータが入ったタブレットPCさえ森の中に持ち込めば現地調査にもすぐ活用できます

これまでのように事務所に戻ってから、データをパソコンに1つ1つ入力する手間も一切ないので、人的労力が省力化・効率化され、コスト削減に繋がることが期待できます。積材計算や路網計画、施業計画立案などの業務精度も向上しています」と話す。

飯石森林組合の景山部長とともに働くのは、同じ森林組合員の若手技師、板持孝祐さんだ。「森林組合では5年ほど仕事しています。3年ほど前から森林GISやアシスト林業ソフトなどのデータ解析を行っていて、導入したヤマハ発動機さんの森林計測サービスでは、1日で最大100haという広範囲を、高精度で効率的に測定します。データ解析が劇的に進みました」(飯石森林組合員・板持さん)。
 

高精度さを森林組合員も絶賛
雲南市になくてはならない存在に

無人ヘリコプターによる森林計測サービスは、数百ha単位の森林を、地表面・毎木レベルまで短期間かつ精緻に3次元デジタルデータ化する。その調査スピードは、地上での調査と比較して100倍ある計算になる。森林内部に立ち入ることなく、上空からのレーザー計測だけで森林内部を精緻にスキャンするため、これまで必要だった計測作業の手間を大きく省力化・短納期・低コストを実現する。

板持さんは続けて、「森林全体に対して、地表面・立木1本1本レベルまで、精緻なデータが獲得できます。レーザー計測は、幹だけではなく、ほか葉や地表面も直接とらえて、立木位置や樹高、胸高直径まで測ることもできます。実測値と遜色ないデータです」と精度の高さを絶賛する。

雲南市役所では、山本さんをリーダーに、林業以外の他部署のメンバーも参加して、月に1、2回、GISの専門家との研修会を開いている。

得られる森林データは、汎用性が高く、防災面や城跡などの文化財発掘にも役立つことがわかりました。今後は林業以外でも、様々な面で活用されていくのではないでしょうか。現在、雲南地区では森林計測サービスによる成果が徐々に上がり始め、私たちの市にはなくてはならない存在になっています。もしも森林経営計画に模索している自治体さんがいたら、自信を持って導入をお勧めするサービスです」(山本さん)。
 

ヤマハ発動機《RINTO》とは?

災害現場や農薬散布などで30年以上の実績を持つ産業用無人ヘリコプターに、計測機器(LiDAR、カメラ)を装着して密度な森林計測を行うサービス。

立木1本1本レベルまで、精緻なデータを獲得。立木位置、樹高、胸高直径をはじめ、実測値との誤差もごくわずかな精度の高いデータ活用が可能に。CS立体図では、地形を精細に再現。傾斜の緩急や地形の凹凸、作業道などの微細な情報まで把握。斜面崩壊や地すべりなどの土砂災害防備の他、路網の計画等にも用いる。

(上)赤い点が樹木一本一本。クリックすると樹高や胸高直径などのデータが表示される。(下)傾斜分布図。

 

 
ヤマハ発動機の森林計測サービスのデータの精度は、令和3年度に実施した林野庁の委託事業でも実証済み。

※林野庁のHPへ移動します

『令和3年度UAVレーザを活用した人工林の林分内容解析手法等検討委託事業』
 

問い合わせ

ヤマハ発動機株式会社 森林計測部
TEL:0538-32-9646


取材・文/脇谷美佳子
写真/松尾夏樹

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